「生徒会からお知らせがあります。次期生徒会選挙は6月10日に行われることになりました」
生徒会長選挙。
この学園の生徒会長として相応しい人間を決める日。
当然俺は、また生徒会長に立候補するつもりだ。
この学園の生徒会役員の選出は 学年関係無しに全校生徒の投票によって決められる。
俺は2年の頃に立候補し、圧倒的な票数でその座を勝ち取った。
そして今日までの1年間。
生徒会長として学園の規律を守り、みんなの期待に応え続けてきた。
今年もまた立候補して生徒会長の座を勝ち取る。
不安なんてない。
俺は俺のやることをするだけだ。
「唯人先輩」
「……宇佐美」
「先生のところに行くんですよね? 俺も同行します」
背後から声をかけてきたのは、ひとつ下の後輩である宇佐美直人だった。
「いい。呼ばれたのは俺だけだ」
「二人で聞いておいた方が効率的でしょう?」
「そうかもしれないが……」
ちらりと彼を見る。
不安はない。
さっきそう自分に言い聞かせたけれど、本当はウソだ。


