「もちろん、今先輩がやろうとしたことは誰にも言いません」
どうして。
俺を許してくれるってことなのか?
宇佐美の考えていることが分からない。
「その代わり」
宇佐美の顔が近づき、俺の耳元で囁く。
「あんたは今日から俺のモノです」
彼から落とされた言葉に思考が固まる。
俺の、モノ……?
宇佐美はニヤリと笑っていた。
「そうだなあ……まずは契約の印として、先輩から俺にキスしてください」
キス?男同士で?
「そんなの出来るわけ……」
「先輩。自分の立場、分かってます?」
宇佐美の声色が一段低くなる。
「あんたに拒否権なんてないんです。先輩がしようとしたことに比べたら、俺のお願いなんて可愛いもんでしょ?」
なにも言えなかった。
俺がしようとしたことと、彼がしていること。
誰に聞いても俺が悪いに決まっている。
「まぁいいですよ、選んでもらっても。俺の言うことを聞くか、それとも今日のことをみんなにバラされて地位も名誉も失うか。好きに決めてください」


