しかし、母さんはその言葉が癇に障ったようで強い口調で言った。
「あなたね、なにを言ってるの?この子はね、昔から強い子だからひとりでも大丈夫なの!もう……早く家に帰りなさい」
俺の手を掴んで引き寄せる母さん。
すると宇佐美はそれを止めるように言った。
「強くない!唯人先輩はいっつもみんなの前では強がってるだけです。本当は傷ついたり、悲しんだり、寂しく思ったり、人一倍そういう感情を持ってる人です」
強くない、か……。
初めて言われた。
みんな俺のこと強い子だねと言った。
ひとりで留守番をする俺を、みんなの前に立つ俺を……。
勉強もスポーツもすべて人の見本になれるように完璧にしてくる俺をみんなは強いと言った。
だけど……本当はそうじゃない。
必死に強がって、胸張って泣きだしそうな自分にムチを打っていただけだ。
「だからもっと唯人先輩を見てほしいです。彼が求めているものを聞いてあげて欲しいんです」


