それから帰り道を歩く俺たちはいつもより静かだった。
宇佐美の気持ちにいつか答えたい。
その時はちゃんと自分の口で言うんだ。
自分の本心を伝えられる日が来たら嬉しい。
俺のカバンで揺れるキーケース。
それを見ていると嬉しい気持ちになる。
(大事にしよう……)
今日も帰り、宇佐美は俺の家まで送ると言い出した。
いらないと言うんだけど「俺がもう少し一緒にいたいから」と言われてしまえば断れなくて一緒に俺の家までの道のりを帰っている。
でももうすぐ俺の家についてしまう。
嫌だな、帰りたくないな。
もっと一緒にいたいな。
気づけばそんなことを考えている。
そんなことを心の中で考えているうちに俺の家まで着いてしまった。
最後にもう一度、宇佐美にお礼を言おうとした時、家のドアが開いた。
「あら、唯人」
家から出てきたのは俺の母さんだった。
母さんは宇佐美を見ると、少し不審な顔をして軽く会釈をした。
「あ、母さん。帰って来てたんだ」
「ええ、でもすぐに仕事に戻るから」
「そっか……」


