放課後の生徒会室、鍵をかけたその先で。


「先輩はこういうキレイなものが好きですよね」

「そ、そうか?」
「はい……桜の木もそうだ」
「桜の木?」

「覚えてませんか? 俺が初めてこの学校に見学に来た日のことです」

宇佐美は懐かしむように目を細めて、遠くを見るような顔をした。

「あの時……先輩は葉桜になった木を見上げて大きくなるとキレイな桜が咲くんだって教えてくれたんです」

「あ……」

言われて、記憶の片隅にある光景が蘇る。

学校見学の案内をする時か!
確かにそんなことを言った気がする。

「俺、あの時思ったんです。この人と一緒にいたいって」
「なっ……その時から!?」

宇佐美が俺を好きなのってその時からだったのか!?

「おかしいですか?」
「い、いや……?」

驚きで言葉が出ない。
俺たちがまだ、なにも関係がなかった頃から彼は俺のことを見ていてくれたというのか。

「一目ぼれだったんですですよ」

宇佐美は懐かしむように言った。
それはウソをついているようには見えない。

こいつ……どれだけ俺のことが好きなんだ!?