でも小さな声だ。
聞こえるわけがない。
そう思っていたら、背中を向けて歩き出していた彼がふいに振り返った。
「えっ」
そしてこちらに戻ってくる。
「なんだか呼ばれたような気がして」
ウソ……気づいてた!?
「よ、呼んでない!」
俺はとっさにウソをついた。
前髪で隠れていて宇佐美の顔がよく見えない。
「唯人先輩……俺、あなたのこと、すげぇ好きです」
「えっ」
そして宇佐美は俺の額にそっとキスをした。
「本当は“ここ”にしたいんですけど。今は我慢します。 寂しくなったらなにも気にせずいつでも言ってくださいね」
よく見えなかった宇佐美の顔が光にあてられ、ハッキリ見えた。
——ドキン。
「……熱い」
額にされたキスが熱い。
心臓がうるさい。
今夜はきっと宇佐美のことで頭がいっぱいで眠れないだろう──。


