湯加減とか聞くな俺!
ニッコリと笑うその表情も、湿気を帯びているせいかいつもより色っぽく見える。
──ドキン、ドキン、ドキン。
心臓の音がうるさい。
直視できない。
俺はたまらず視線を逸らして、後ずさりをした。
「なんで逃げるんですか」
「に、逃げてないっ」
「ウソだ」
宇佐美は楽しそうに目を細めると、逃げる俺との距離を一歩詰めた。
「顔、赤いですよ」
「……っ」
「もしかして意識しちゃった?」
パッと顔をあげると意地悪に笑う彼の顔がある。
「かわいいですね」
「ち、違うから!」
こうなったら宇佐美は止められない。
俺を追いつめて距離を詰めてくる。
「や、やめろって……」
——グラリ。
後ずさりする俺は思わずコードを踏んでしまい身体がよろけてしまった。
「おっと」
宇佐美が俺を包み込むように支える。
「あ、悪ぃ……」
身体を離そうとするけれど、腰に回された腕はビクともしない。


