「なにもないからつまらないかもしれない」
「いえ、でも驚きました……」
すると宇佐美はテーブルに置いてある母親のメモにも気づいたようだった。
「あ、それは……」
【このお金で何か買って食べて】
そう書かれた横に1万円が置かれている。
「先輩の家、いつもこんな感じなんですか?毎日お金だけ用意されて、一人でご飯を食べて……」
「まぁ……」
宇佐美驚いた顔してる。
俺は普通が分からない。
家に帰れば寂しいが当たり前だったから。
「本当、やることないから風呂でも入っていいぞ!風呂はこっちにあるから。もし入るなら……」
俺は居たたまれなくなって、会話を遮るように彼の背中を押して脱衣所へ案内した。
これ以上、あのテーブルの上を見られたくなかったから。
「タオルはこれ。先に入るか?」
「それなら、お言葉に甘えて……」
宇佐美はそう告げると、大人しく脱衣所に入っていった。
ドアが閉まり、脱衣所から衣擦れの音が聞こえてくる。
宇佐美、あのメモのことどう思ったかな……。
変な家庭だと思ったかな。
特に宇佐美は俺の父親と会ったことがあるんだもんな……。


