大丈夫。
彼は俺とは違う。
彼はどこでだって上手く生きていけるタイプの人間だから。
スマホを生徒会室にあるプリンターに繋ぐ。
震える指先で、印刷する写真を選択した。
すまない、宇佐美。
一度強く目をつぶり、ゆっくりと深呼吸をした。
そして【印刷】のボタンを押した瞬間。
――ガチャ。
突然、生徒会室のドアが開いた。
「先輩、今日の活動報告なんですけど……」
マズい。
どうしよう。鍵を閉め忘れてしまった。
よりによってやって来たのは、宇佐美だった。
「すみません、ノック忘れてましたね」
ピッと押してしまった印刷ボタン。
取り消しを押す時間なんかなくて ウィーン、ガシャンと音を立てて写真が吐き出される。
これを見られたら終わりだ。
絶対に俺が回収しなくちゃいけない。
慌てて、排紙トレイに手を伸ばした瞬間。
「ん?」
俺よりも早く伸びて来た大きな手が、その写真を奪っていく。
「あっ……ダメだ!」


