生徒会長と秘密の契約


自分がのし上がるのではなく、誰かを蹴落とす作戦。
これを実行した瞬間、俺の手は真っ黒に染まる。

でも……。

「……っ」

自分の居場所を確保するためには これしか思い浮かばなかった。

俺にはこれしかないんだ。
手が震える。

やらなくちゃ、迷ってはいられない。

『唯人が生徒会長か……父さん嬉しいよ』
『期待しているぞ。お前なら出来ると信じている』

中学の頃。
周りの人との関わり方が分からなかった俺。

友達もできなくて、ただ勉強だけをして過ごしていた。
そんな中で手に入れた生徒会長という肩書だけが、父さんを笑顔にさせた。

生徒会長でいることは俺の存在証明であり、生きるための命綱だ。

「やる、しかないんだ……」

自分に言い聞かせる。
じゃなきゃ、また。俺を見る父さんの目が、あのゴミを見るような冷たい目に変わってしまう。

暗くて寒い。
ひとりぼっちの世界。

そんなの嫌だ。