「俺は別に気にしてないです。でも……唯人さんが悲しそうな顔をするのが耐えられなかった」
あの時、宇佐美がかばってくれなかったら、俺はショックで動けなかったかもしれない。
頭が真っ白になって、きっと使い物にならなくて失敗ばかりしていたかも。
そうじゃないって否定してくれる人がいて救われた。
「俺の家はさ……いっつもあんな感じなんだ。父さんは政治家で母さんは弁護士。ふたりとも忙しくて俺になんかに目を向けてくれなかった。それで生徒会長になったって報告した時だけ……ふたりとも褒めてくれたんだ。みんなのためになることはいいことだって。はじめて俺のことを見てくれた気がした」
だから俺は生徒会長に固執してしまった。
生徒会長にならなければ自分に価値がないと思ってしまった。
「宇佐美……ごめん。謝っても一生許されないことは分かってる。でもやっぱりちゃんとあの時のこと謝りたい。卑怯なことして宇佐美から生徒会長の座を奪ってごめん」
宇佐美が立候補していたら、絶対に宇佐美が当選していたことは分かってる。
宇佐美は仕事もできるし、容量もいいし……みんなに好かれてる。
憧れられるような生徒会長になっていたはずだ。
すると、宇佐美は真剣な眼差しで俺を見つめた。


