体育祭で勇気を出して素直に応援した結果、俺は阿比留にまさかのハグをされている。
俺と和馬がした下心なしのハグと同じだと分かってはいる。だとしても、好きな相手にされてるんだから、心臓が勝手にドクドク激しくなる。
…つーか、長くね?
「阿比留ー、俺ともハグしようぜー!」
和馬が来て阿比留とのハグは終わったが、体感30秒超え…。ふわっと香った阿比留の匂いにクラクラしそうだ。
前半の部が終了し、教室へ向かう俺が目にしたのは、阿比留と写真を撮るために並ぶ女子たちの行列。
「え、俺もリレー活躍したよな!?速過ぎて皆んなに見えてなかったとか!?」
和馬のアホみたいなポジティブ発言を聞く横で、乾は心配そうな顔をする。
「音緒、大丈夫かな。あの数対応してたら、休憩取れないよね」
「…。」
…アイツ、意外に押しに弱いから断れねーんだろうな。
「悪りぃ、先行っといて」
「はいよー」
次の女子に入れ替わるタイミングで、阿比留の横に立った俺。阿比留は「何でいんだよ」と驚いている。
「えー、女子の皆さん!大変申し訳ないんですが、阿比留は次の活躍に向けて休憩に入るんで、学年ごとにまとめて撮るスタイルに変更してもいいですか?個人で撮りたい方は、全部終わった後でお願いしまーす」
若干のブーイングは起きたが、最終的に提案を受け入れてくれ、俺は順番に女子に囲まれる阿比留をカメラに収めた。
「じゃあ、撮りまーす…ハイ、チーズ!」
…自分でやっておきながら、すげぇ複雑ー。好きな奴のハーレム状態をスマホ越しに見るとか…。
「皆さん、ご協力ありがとうございました!後半も阿比留がガンガン活躍するんで、応援よろしくお願いしますっ!…じゃ、失礼します。おい、行くぞ」
「…うん」
教室に戻る途中、阿比留は俺の半歩後ろを歩いていた。勝手なことすんなと文句を言われると思ったのに、阿比留の口からは感謝の言葉が出てきた。
「…ありがとな。ほんとに助かった」
「…いえいえ。つーかさ、迷惑な時や困った時は断れよなぁ。告白はバッサリ断るくせに、ああいうのは受け入れるとか謎なんだけど」
「うるせぇ…」
後半の部は応援合戦に始まり、大縄跳びや俺と乾が出場する二人三脚がある。
阿比留が熱い視線を集めた応援合戦の後、俺と乾は二人三脚の待機場所に急いで移動した。
「練習通り走れば勝てるな」
そう言った俺の横で、乾は様子がおかしい。
「乾?どした?」
「応援合戦の時、先輩とぶつかって足挫いちゃって…」
「え!?大丈夫か!?早く言えよ、とりあえず保健室行けって」
「そこまで痛くないから」
「いやいや、ちゃんと処置しねーと。大縄回すのは出来そう?」
「うん、跳ぶわけじゃないから」
「じゃあ、二人三脚はやめとけって。もっと痛めたら回すのもしんどくなるぞ」
「でも…」
「大丈夫!すぐに和馬に変更してもらうように申請すっから」
「俺が代わりに走る」
…!!
現れたのは阿比留だった。
「え、音緒どうして」
「乾の走り方おかしかったから」
「さすがだね」
「もう委員に申請したから、乾は保健室行ってこい」
「ありがとう。竹ちゃん、ほんとごめんね」
「ぜーんぜん。何も気にすんなって!」
女子の部を走っているクラスの子たちを応援しながら、横にいる阿比留に問いかける。
「ぶっつけ本番でいけんの?俺らアンカーだけど」
「身長差はどうにもなんねーだろ。俺がテメェに合わせるから」
「あ?リレーでもアンカーしたからって調子乗んなよ」
「乗ってねぇよ。乾が責任感じねーように、勝つ以外の選択肢ないんだから、合わされたくねぇなら大人しく俺に身体委ねてろ」
「ゆっ…」
委ねるって…こいつに言われるとなんか恥ずい!つーか、今から足首結んで、肩組んで、一緒に走るんだよな?…やべぇ、色んな意味で緊張してきた。
男子の部がスタートし、1番走者の2人が走り始めたタイミングで、紐を結び始めた俺たち。
「きつさこんぐらいでいい?」
しゃがんで結ぶ俺の問いかけに、立っていた阿比留もしゃがんできた。
「うん。解けねーように…」
紐を調整する阿比留と髪と髪が触れそうなぐらいの距離になり、ハグした時の匂いがまた香って、走る前から鼓動が激しくなる。
…ドキドキドキ…
位置に着いた俺は気持ちを切り替え、前のペアからバトンを受け取った。この時点で順位は2番。
「せーのっ…」
…えっ、嘘だろ……めちゃくちゃ走りやすい。
初めてペアを組んだとは思えない速さで、少し先を走る他クラスのペアに迫っていく。
「抜かすぞ」
阿比留の一言で、外側から一気に追い抜いた。
そして、見事にゴールテープを切った俺と阿比留。
「はぁ…はぁ…よかった」
腰に手を当てひと安心する俺は、しゃがんで紐を解いている阿比留に伝えた。
「ほんと助かった、ありがとな…」
阿比留はしゃがんだまま上を向き、さらっと言う。
「テメェの隣は、俺が1番合ってんだよ」
「…え」
俺を見る阿比留の視線が熱く感じるのは、気のせいか…?
応援場所に戻ると、乾も保健室から戻ってきていた。
「竹ちゃん、音緒!凄かったよー!」
「足、大丈夫か?」
「うん、きちんと処置してもらったからバッチリ!」
「ならよかった。大縄よろしくな」
その後の大縄跳びは、練習以上の記録を出し、ぶっちぎりの優勝。そして、目標としていた1年の部でも優勝でき、大満足の結果で体育祭を締め括ることができた。
閉会式の後、再び阿比留と女子たちの撮影タイムが始まった。
「終わるのいつになるか分からないし、先に教室戻っておこうか」
「打ち上げには間に合うだろうし、今止めたら女子たちに殺されそうだしな。直斗はどうする?まだ残る?」
「あー、うん、ちょい残るわ」
「了解」
休憩時間に俺が勝手に、個人で撮りたい人は終わった後にと言ってしまったから多少責任を感じている。
阿比留の撮影会を少し離れた所に座り、頬杖をつき眺めていた。
俺も最後尾に並んでみよっかな。って、そんなことしたら冷めた目でスルーされるだけか。
最後の1人と撮り終えた阿比留は、俺の存在に気付いていたようで、こっちに近付いてくる。
「何で残ってんだよ」
「連帯責任的な?」
「意味分かんねぇ」
ドサッと俺の隣に座った阿比留は、ポケットから取り出したスマホをインカメラにして、2人の顔が映るように腕を伸ばした。
ーえっ…
何の掛け声もなく、いきなりシャッターが押され、ギリギリカメラを向いた俺の顔は完全に間抜けヅラだったと思う。
「後で送っとく。…教室戻るか」
「…。」
さっきまでツーショットを撮っていた女子たちは、当たり前だけど自分のスマホで撮り、阿比留に送るような関係じゃない。つまり、阿比留のスマホの中にある唯一のツーショットとは俺との写真だけ。
…そんな特別、今の俺にされたら勘違いしそうになる。ただの友達…いや、ただのクラスメイトにしか思われてねーの分かってんのに。
焼肉の食べ放題で行われている体育祭の打ち上げ。
「直斗!ぜってぇ元取んぞ!!」
「あたりめーだ!」
長テーブルに8人ずつ、阿比留と乾は他のテーブルになってしまった。まぁ、肉を食きまくることに専念するなら、離れてるぐらいがちょうどいいか。
和馬と本田に挟まれている俺は、次々と運ばれてくる肉や野菜を網に乗っけていく。
「そういえばさ、2年にかっこいい先輩いたよね?」
制限時間残り30分、本田たち女子はすでに肉ではなくデザートを食べ始め、いつもみたいに雑談をしている。
「あ、騎馬戦でハチマキ取りまくってた人でしょ!?」
「そーそー、その人!」
「うんうん、かっこよかった」
「その人も良かったけど、3年に子犬系の可愛い先輩いたの見た?二人三脚に出てた」
「えー、そんな人いた?」
「自分のクラスに阿比留がいんのに、他のイケメンで盛り上がるんだな」
和馬の何気ない発言に本田たちは反応した。
「あのね、阿比留が死ぬほどかっこいいことなんて私らは嫌ほど分かってんのよ。たださ、数ヶ月同じクラスで過ごして、阿比留から恋愛として見られることは一生ないと悟ってるわけ。同じクラスの特権として、目の保養で心の癒しにはするけど、恋愛としては他のイケメンを探さないとなのよ。他のイケメンとなら付き合える可能性あるかもじゃん?」
「阿比留ってさ、女の子に興味あるのかな?」
「え、男が好きってこと?」
「いや、なんかどっちも興味無さそうじゃない?恋愛に興味がないみたいな。男も女も人として、友達として仲良くはするけど、それ以上の感情を持つことなさそう」
「あー、確かにねぇ」
肉を頬張りながら、意外と核心をついていそうな女子の会話を聞いていた。
でもアイツ、人を好きになったことあるって言ってたから、恋愛感情がないわけじゃないと思う。というか、向こうに恋愛感情がないと片想い中の俺は絶望しかない。
やっと肉に満足し、デザートを食っている俺に本田がスマホ画面を見せてきた。
「ねぇー、これ竹が撮ったんでしょ?」
そこには、休憩時間に撮った阿比留と他クラス女子たちのハーレム写真。
つーか、何で本田がこの写真持ってんだよ。
「あー、うん」
「マネージャーも大変ね」
「別にマネージャーじゃねぇよ!」
「ていうかさ、この阿比留カメラ目線じゃないよね?これ、どこ向いてんだろ?若干上見てる気がする…」
本田にそう言われ、もう一度写真の中の阿比留を見た。
確かに少しだけ上見てんな…。…ん?
撮っていた時の状況を思い出し、そわそわし始める。
あん時俺、スマホを顎あたりの位置まで下げて撮ってたよな?画面しか見てなかったから気付かなかったけど…もしかしてアイツ……俺のこと見てた?
そんな事を考えながら、違うテーブルにいる阿比留を見ると、目が合った。
…ドキッ…
今日…阿比留と何回目が合ったっけ…。俺の視線がバレて目が合うというより、アイツもこっちを見るから合ってる気がしたのは……勘違い?
俺と和馬がした下心なしのハグと同じだと分かってはいる。だとしても、好きな相手にされてるんだから、心臓が勝手にドクドク激しくなる。
…つーか、長くね?
「阿比留ー、俺ともハグしようぜー!」
和馬が来て阿比留とのハグは終わったが、体感30秒超え…。ふわっと香った阿比留の匂いにクラクラしそうだ。
前半の部が終了し、教室へ向かう俺が目にしたのは、阿比留と写真を撮るために並ぶ女子たちの行列。
「え、俺もリレー活躍したよな!?速過ぎて皆んなに見えてなかったとか!?」
和馬のアホみたいなポジティブ発言を聞く横で、乾は心配そうな顔をする。
「音緒、大丈夫かな。あの数対応してたら、休憩取れないよね」
「…。」
…アイツ、意外に押しに弱いから断れねーんだろうな。
「悪りぃ、先行っといて」
「はいよー」
次の女子に入れ替わるタイミングで、阿比留の横に立った俺。阿比留は「何でいんだよ」と驚いている。
「えー、女子の皆さん!大変申し訳ないんですが、阿比留は次の活躍に向けて休憩に入るんで、学年ごとにまとめて撮るスタイルに変更してもいいですか?個人で撮りたい方は、全部終わった後でお願いしまーす」
若干のブーイングは起きたが、最終的に提案を受け入れてくれ、俺は順番に女子に囲まれる阿比留をカメラに収めた。
「じゃあ、撮りまーす…ハイ、チーズ!」
…自分でやっておきながら、すげぇ複雑ー。好きな奴のハーレム状態をスマホ越しに見るとか…。
「皆さん、ご協力ありがとうございました!後半も阿比留がガンガン活躍するんで、応援よろしくお願いしますっ!…じゃ、失礼します。おい、行くぞ」
「…うん」
教室に戻る途中、阿比留は俺の半歩後ろを歩いていた。勝手なことすんなと文句を言われると思ったのに、阿比留の口からは感謝の言葉が出てきた。
「…ありがとな。ほんとに助かった」
「…いえいえ。つーかさ、迷惑な時や困った時は断れよなぁ。告白はバッサリ断るくせに、ああいうのは受け入れるとか謎なんだけど」
「うるせぇ…」
後半の部は応援合戦に始まり、大縄跳びや俺と乾が出場する二人三脚がある。
阿比留が熱い視線を集めた応援合戦の後、俺と乾は二人三脚の待機場所に急いで移動した。
「練習通り走れば勝てるな」
そう言った俺の横で、乾は様子がおかしい。
「乾?どした?」
「応援合戦の時、先輩とぶつかって足挫いちゃって…」
「え!?大丈夫か!?早く言えよ、とりあえず保健室行けって」
「そこまで痛くないから」
「いやいや、ちゃんと処置しねーと。大縄回すのは出来そう?」
「うん、跳ぶわけじゃないから」
「じゃあ、二人三脚はやめとけって。もっと痛めたら回すのもしんどくなるぞ」
「でも…」
「大丈夫!すぐに和馬に変更してもらうように申請すっから」
「俺が代わりに走る」
…!!
現れたのは阿比留だった。
「え、音緒どうして」
「乾の走り方おかしかったから」
「さすがだね」
「もう委員に申請したから、乾は保健室行ってこい」
「ありがとう。竹ちゃん、ほんとごめんね」
「ぜーんぜん。何も気にすんなって!」
女子の部を走っているクラスの子たちを応援しながら、横にいる阿比留に問いかける。
「ぶっつけ本番でいけんの?俺らアンカーだけど」
「身長差はどうにもなんねーだろ。俺がテメェに合わせるから」
「あ?リレーでもアンカーしたからって調子乗んなよ」
「乗ってねぇよ。乾が責任感じねーように、勝つ以外の選択肢ないんだから、合わされたくねぇなら大人しく俺に身体委ねてろ」
「ゆっ…」
委ねるって…こいつに言われるとなんか恥ずい!つーか、今から足首結んで、肩組んで、一緒に走るんだよな?…やべぇ、色んな意味で緊張してきた。
男子の部がスタートし、1番走者の2人が走り始めたタイミングで、紐を結び始めた俺たち。
「きつさこんぐらいでいい?」
しゃがんで結ぶ俺の問いかけに、立っていた阿比留もしゃがんできた。
「うん。解けねーように…」
紐を調整する阿比留と髪と髪が触れそうなぐらいの距離になり、ハグした時の匂いがまた香って、走る前から鼓動が激しくなる。
…ドキドキドキ…
位置に着いた俺は気持ちを切り替え、前のペアからバトンを受け取った。この時点で順位は2番。
「せーのっ…」
…えっ、嘘だろ……めちゃくちゃ走りやすい。
初めてペアを組んだとは思えない速さで、少し先を走る他クラスのペアに迫っていく。
「抜かすぞ」
阿比留の一言で、外側から一気に追い抜いた。
そして、見事にゴールテープを切った俺と阿比留。
「はぁ…はぁ…よかった」
腰に手を当てひと安心する俺は、しゃがんで紐を解いている阿比留に伝えた。
「ほんと助かった、ありがとな…」
阿比留はしゃがんだまま上を向き、さらっと言う。
「テメェの隣は、俺が1番合ってんだよ」
「…え」
俺を見る阿比留の視線が熱く感じるのは、気のせいか…?
応援場所に戻ると、乾も保健室から戻ってきていた。
「竹ちゃん、音緒!凄かったよー!」
「足、大丈夫か?」
「うん、きちんと処置してもらったからバッチリ!」
「ならよかった。大縄よろしくな」
その後の大縄跳びは、練習以上の記録を出し、ぶっちぎりの優勝。そして、目標としていた1年の部でも優勝でき、大満足の結果で体育祭を締め括ることができた。
閉会式の後、再び阿比留と女子たちの撮影タイムが始まった。
「終わるのいつになるか分からないし、先に教室戻っておこうか」
「打ち上げには間に合うだろうし、今止めたら女子たちに殺されそうだしな。直斗はどうする?まだ残る?」
「あー、うん、ちょい残るわ」
「了解」
休憩時間に俺が勝手に、個人で撮りたい人は終わった後にと言ってしまったから多少責任を感じている。
阿比留の撮影会を少し離れた所に座り、頬杖をつき眺めていた。
俺も最後尾に並んでみよっかな。って、そんなことしたら冷めた目でスルーされるだけか。
最後の1人と撮り終えた阿比留は、俺の存在に気付いていたようで、こっちに近付いてくる。
「何で残ってんだよ」
「連帯責任的な?」
「意味分かんねぇ」
ドサッと俺の隣に座った阿比留は、ポケットから取り出したスマホをインカメラにして、2人の顔が映るように腕を伸ばした。
ーえっ…
何の掛け声もなく、いきなりシャッターが押され、ギリギリカメラを向いた俺の顔は完全に間抜けヅラだったと思う。
「後で送っとく。…教室戻るか」
「…。」
さっきまでツーショットを撮っていた女子たちは、当たり前だけど自分のスマホで撮り、阿比留に送るような関係じゃない。つまり、阿比留のスマホの中にある唯一のツーショットとは俺との写真だけ。
…そんな特別、今の俺にされたら勘違いしそうになる。ただの友達…いや、ただのクラスメイトにしか思われてねーの分かってんのに。
焼肉の食べ放題で行われている体育祭の打ち上げ。
「直斗!ぜってぇ元取んぞ!!」
「あたりめーだ!」
長テーブルに8人ずつ、阿比留と乾は他のテーブルになってしまった。まぁ、肉を食きまくることに専念するなら、離れてるぐらいがちょうどいいか。
和馬と本田に挟まれている俺は、次々と運ばれてくる肉や野菜を網に乗っけていく。
「そういえばさ、2年にかっこいい先輩いたよね?」
制限時間残り30分、本田たち女子はすでに肉ではなくデザートを食べ始め、いつもみたいに雑談をしている。
「あ、騎馬戦でハチマキ取りまくってた人でしょ!?」
「そーそー、その人!」
「うんうん、かっこよかった」
「その人も良かったけど、3年に子犬系の可愛い先輩いたの見た?二人三脚に出てた」
「えー、そんな人いた?」
「自分のクラスに阿比留がいんのに、他のイケメンで盛り上がるんだな」
和馬の何気ない発言に本田たちは反応した。
「あのね、阿比留が死ぬほどかっこいいことなんて私らは嫌ほど分かってんのよ。たださ、数ヶ月同じクラスで過ごして、阿比留から恋愛として見られることは一生ないと悟ってるわけ。同じクラスの特権として、目の保養で心の癒しにはするけど、恋愛としては他のイケメンを探さないとなのよ。他のイケメンとなら付き合える可能性あるかもじゃん?」
「阿比留ってさ、女の子に興味あるのかな?」
「え、男が好きってこと?」
「いや、なんかどっちも興味無さそうじゃない?恋愛に興味がないみたいな。男も女も人として、友達として仲良くはするけど、それ以上の感情を持つことなさそう」
「あー、確かにねぇ」
肉を頬張りながら、意外と核心をついていそうな女子の会話を聞いていた。
でもアイツ、人を好きになったことあるって言ってたから、恋愛感情がないわけじゃないと思う。というか、向こうに恋愛感情がないと片想い中の俺は絶望しかない。
やっと肉に満足し、デザートを食っている俺に本田がスマホ画面を見せてきた。
「ねぇー、これ竹が撮ったんでしょ?」
そこには、休憩時間に撮った阿比留と他クラス女子たちのハーレム写真。
つーか、何で本田がこの写真持ってんだよ。
「あー、うん」
「マネージャーも大変ね」
「別にマネージャーじゃねぇよ!」
「ていうかさ、この阿比留カメラ目線じゃないよね?これ、どこ向いてんだろ?若干上見てる気がする…」
本田にそう言われ、もう一度写真の中の阿比留を見た。
確かに少しだけ上見てんな…。…ん?
撮っていた時の状況を思い出し、そわそわし始める。
あん時俺、スマホを顎あたりの位置まで下げて撮ってたよな?画面しか見てなかったから気付かなかったけど…もしかしてアイツ……俺のこと見てた?
そんな事を考えながら、違うテーブルにいる阿比留を見ると、目が合った。
…ドキッ…
今日…阿比留と何回目が合ったっけ…。俺の視線がバレて目が合うというより、アイツもこっちを見るから合ってる気がしたのは……勘違い?



