神樹の里に戻ると、あれほど続いていた吹雪が嘘のように止んでいた。
積もっていた雪も溶け始めていて、まるで一足早い春がやってきたような陽気に包まれていた。
2週間ぶりの農作業をしていたゴレムに話を聞いたところ、里の被害はそれほど多くはなかった。
柵がいくつか壊れただけで、露天風呂も釣り堀も農作物の無傷。
どうやら土の精霊さんと水の精霊さんが尽力してくれていたらしい。
本当にありがたい。
そんな吹雪の元凶だったホワイトドラゴンだけど、定期的に神樹の実を奉納することで納得してくれた。
──いや、納得というか、
「ええっ!? そんなに貰って良いのですか!?」
なんて大喜びで尻尾をブンブンと振り回していたけど。
これで引きこもり生活が捗るとか呟いていたし、筋金入りの引きこもりドラゴンなのかもしれない。
そんなホワイトドラゴンから神樹の実を奉納するお礼にと、とあるものを渡された。
ダチョウの卵くらいある、巨大なドラゴンの卵だ。
なんでも数日前に産んだばかりなのだとか。
守護者様のお力になるはずだとか言ってたけど、正直疑わしいものがある。
だって、そう言ってるのはベロベロに酔っ払ったニートドラゴンだし。
だけどいりませんとも断りづらい空気だったので、ありがたく頂戴して帰路につくことにした。
「……ホント、はた迷惑なドラゴンでしたね」
里に帰ってきて数日後。
水車小屋で圧搾機の中に神樹の実を投入しながら、ドラゴンの件を思い出した僕は重いため息をついてしまった。
「あ、あはは……」
隣で作業をしていたアルレーネ様が、苦笑いを浮かべる。
「ドド、ドラゴンは生態系の頂点に君臨する王者ですからね。独自のルールで行動しているというか……悪気はないと思いますけれど。多分」
なんだかアルレーネ様の言葉の歯切れが悪い。
今回の事件の一旦を担ってしまっていたという自負があるからだろう。
事の顛末を彼女に話したときの反応はすごかった。
瞬時に顔を真っ青にして「私、種からやりなおします!」と、地面に穴を掘りはじめたのだ。
そのまま穴の中にダイブしそうな勢いだったので、慌てて止めたけど。
「ごむごむ~(お屋形様、お酒を運んでおくね~)」
「お、ありがとう」
ゴレムがヒョイと樽を抱え、小屋から運び出しはじめた。
彼が運んでいるのは完成した第二弾の神樹酒の樽だ。
今回の神樹酒も、発酵をスタートさせて1週間くらいで完成した。
本当に精霊さんにはお世話になりっぱなしだ。
──まぁ、短期間で発酵に成功したせいで、ホワイトドラゴンが悪酔いすることになったんだけどね。
「さて、と」
持ってきた神樹の実を全て圧搾機に投入し終わり、うーんと背筋を伸ばす。
「作業はこのくらいにしてログハウスに戻りましょうか。アルレーネ様」
「そうですね。もう皆さん集まってると思いますよ」
どこかウキウキしているアルレーネ様。
前回作った神樹酒は、全て森の動物やホワイトドラゴンに振る舞った。
なので、今回作り終えた第二弾の神樹酒を使って、ささやかながら「神樹酒完成パーティ」を開くことにしたのだ。
裏庭を会場にしているので、みんな集まっているだろう。
ログハウスに戻り、裏庭へ向かう前に寝室を覗いてみた。
ベッドの上に、タオルにくるまれた巨大な卵が鎮座している。
ホワイトドラゴンから貰った卵だ。
孵化の仕方なんてわからなかったけれど「温かいタオルで包んでおけばいい」とアルレーネ様が教えてくれた。
一体、どんなドラゴンが生まれてくるんだろう。
期待──というより、不安が大きい。
だって、あのドラゴンの子どもだし。
真面目なドラゴンに生まれてくれよ?
そんなことを願いつつ卵を優しく撫でて、裏庭へと向かう。
「……おお、お屋形様だ!」
縁側の窓を開けた瞬間、集まってくれた皆が一斉にこちらを見た。
ハク一族に、サラさん。
シャドウさんに、ケンタウルスさんやオークさん。
たぬきちゃんとアヒルちゃん。
トトさんの姿もある。
全員、神樹酒が注がれたジョッキを手に持っていた。
「ごむ(はい、これ)」
「……お、サンキュー」
ゴレムにジョッキを渡されたので、小さく掲げた。
「みんな集まってくれてありがとう。神樹酒はここにいるみんなの力があったからこそ完成した、最高のお酒だ。だから今日は、この最高の一杯をみんなと一緒に味わいたい」
「おお~っ」
皆がにこやかにジョッキを挙げる。
よく見ると、精霊さんも小さなコップを手に持っていた。
彼らも功労者だからね。
ぜひとも一緒に神樹酒を楽しんでもらいたい。
「ではみんな、神樹の恵みに感謝して、かんぱ──」
「カ、カカ、カズマ様ぁっ!」
と、裏庭に甲高い声が響いた。
血相を変えて走ってくるアルレーネ様。
その後ろに、ゴレム1号の姿も。
一体、どうしたんだろう?
「ごむ! ごむむ!(大変だ! 大変なことが起きた!)」
「……え? 大変なこと?」
嫌な予感が脳裏をよぎる。
また面倒な事件でも起きたのか──と身構えたそのとき、ゴレムがそっと両手で何かを差し出してきた。
それは2通の手紙だった。
アルレーネ様の話では、馬に乗った騎士風の男と、小型竜「ワイバーン」にまたがったサラマンダーが、それぞれ一通ずつ手紙を置いていったらしい。
「手紙? 誰からだろう?」
「ご、ごむ~(す、すごい方たちからの手紙だよ!)」
「すごい方?」
一体誰だ?
開墾スキルの【対話】を使って文字を読めるようにして、手紙に目を通す。
「……なになに? 『勇猛なるカズマ殿、このたび、我が領土を脅かしていた白き暴風ホワイトドラゴンを鎮め、王国と民の安寧を守ってくれたこと、心より感謝する。国王ベラトリクス』……」
なるほどなるほど。
国王様からの手紙か。
「……うぇっ!? こ、国王様!?」
素っ頓狂な声が出てしまった。
凄い封蝋がされてるなとは思ってたけど、国王様から直々の手紙だったの!?
この世界の常識はよくわからないけど、普通ありえないよね!?
「へぇ、王室からの感謝状みたいだな」
面白そうに、トトさんが続ける。
「ホワイトドラゴンを鎮めたお礼ってわけだな。これはすごい謝礼が期待できそうだ!」
「しゃ、謝礼……」
ってなんでしょうか。
また、大量の金貨が送られてきたりするの?
「ごむ~ん! (こっちの手紙の送り主もすごいよ!)」
ゴレムに促され、もう一通の手紙を開く。
「北方の嶺を支配し、幾世紀にもわたり我が領土と人の地を等しく荒らしてきた白き暴嵐ホワイトドラゴン。貴殿がこれを鎮めたと聞き、深き敬意と感謝をここに表す。魔王ネロス」
しん、と静まり返った裏庭に、冷えた風が通り抜けていく。
わふっとハクが小さく吠えた。
「ほう? 魔王様に一目置かれるとは、流石だなカズマ」
「好意的なお返事をいただけたようです良かったです。この感じだと、いずれお目通しに叶うかもしれませんね、カズマ様!」
にこやかにアルレーネ様が笑う。
ま、魔王様にお目通し!?
全然良くないんですけど!?
しかし、人間の王様とモンスターの王様、両方から感謝状が届くなんて、もはや呆れるしかない。
「おお、魔王様!?」
だけど、顔が引きつってしまう僕をよそに、オークさんや他の住民たちは大興奮だった。
「魔王ネロス様、直々のお手紙とは!」
「魔王様に一目置かれるとは……やりますな! お屋形様!」
「これで里も安泰だな!」
「カズマ様バンザイ!」
「お屋形様バンザイ!」
「ごむごむ(よくわからないけど、やったぁ!)」
「……ねぇ、みんなちょっとやめてくれない?」
担ぎ上げてくる住民たちに、青ざめてしまう。
とはいえ、ふたりの王様に大きな借りを作ったというのは、里の未来にとってプラスなのかもしれない。
超ポジティブに考えれば、だけど。
「ひ、ひとまず、乾杯しようか……」
げんなりした気持ちを抑えつつ、控え気味にジョッキを掲げる僕。
一方、興奮冷めやらぬ住民たちは、勢いよく天に突き上げるようにジョッキを振り上げた。
「し、神樹の里の未来に……」
「「「乾杯っ!」」」
消沈した僕の声に続き、みんなの声が裏庭に響き渡る。
その威勢に背中を押されるように、僕は神樹酒をごくりと喉奥に流し込んだ。
しゅわっと弾ける炭酸の刺激が心地よく、香りと味わいが体に染み渡る。
一口、また一口とゆっくり味わうたび、自然と笑みがこぼれてくる。
飲みやすくて、最高にうまい。
少しだけ元気を取り戻した僕は、感慨を込めて静かにつぶやく。
「……うん、これは神樹の里の名産としてふさわしいね」
ふと空を見上げると、青々とした神樹が目に映る。
以前は僕の魂とリンクしてしまっていた神樹。
そのせいで、僕の命は朽ちかけ、散々な人生を送るハメになった。
だけど──新たに迎えた二度目の人生では、神樹にたくさんのプレゼントをもらっている。
「こんな美味しいお酒をくれて、ありがとうな」
ざわざわと神樹の葉が揺れる。
そんな神樹に、小さく乾杯。
まもなく神樹の里に、二度目の春がやってくる。
────────────────────────
ここまでお読み頂きありがとうございます!
そして、この度、本作品の書籍化が決定しました!
グラストNOVELSさんより、2月に発売予定です。
新しいキャラ追加や加筆修正マシマシで、WEB版を読まれた方も楽しめる内容となっております!どうぞお楽しみに!
アマゾンで予約も開始しておりますので、ぜひともよろしくおねがいします〜〜!
積もっていた雪も溶け始めていて、まるで一足早い春がやってきたような陽気に包まれていた。
2週間ぶりの農作業をしていたゴレムに話を聞いたところ、里の被害はそれほど多くはなかった。
柵がいくつか壊れただけで、露天風呂も釣り堀も農作物の無傷。
どうやら土の精霊さんと水の精霊さんが尽力してくれていたらしい。
本当にありがたい。
そんな吹雪の元凶だったホワイトドラゴンだけど、定期的に神樹の実を奉納することで納得してくれた。
──いや、納得というか、
「ええっ!? そんなに貰って良いのですか!?」
なんて大喜びで尻尾をブンブンと振り回していたけど。
これで引きこもり生活が捗るとか呟いていたし、筋金入りの引きこもりドラゴンなのかもしれない。
そんなホワイトドラゴンから神樹の実を奉納するお礼にと、とあるものを渡された。
ダチョウの卵くらいある、巨大なドラゴンの卵だ。
なんでも数日前に産んだばかりなのだとか。
守護者様のお力になるはずだとか言ってたけど、正直疑わしいものがある。
だって、そう言ってるのはベロベロに酔っ払ったニートドラゴンだし。
だけどいりませんとも断りづらい空気だったので、ありがたく頂戴して帰路につくことにした。
「……ホント、はた迷惑なドラゴンでしたね」
里に帰ってきて数日後。
水車小屋で圧搾機の中に神樹の実を投入しながら、ドラゴンの件を思い出した僕は重いため息をついてしまった。
「あ、あはは……」
隣で作業をしていたアルレーネ様が、苦笑いを浮かべる。
「ドド、ドラゴンは生態系の頂点に君臨する王者ですからね。独自のルールで行動しているというか……悪気はないと思いますけれど。多分」
なんだかアルレーネ様の言葉の歯切れが悪い。
今回の事件の一旦を担ってしまっていたという自負があるからだろう。
事の顛末を彼女に話したときの反応はすごかった。
瞬時に顔を真っ青にして「私、種からやりなおします!」と、地面に穴を掘りはじめたのだ。
そのまま穴の中にダイブしそうな勢いだったので、慌てて止めたけど。
「ごむごむ~(お屋形様、お酒を運んでおくね~)」
「お、ありがとう」
ゴレムがヒョイと樽を抱え、小屋から運び出しはじめた。
彼が運んでいるのは完成した第二弾の神樹酒の樽だ。
今回の神樹酒も、発酵をスタートさせて1週間くらいで完成した。
本当に精霊さんにはお世話になりっぱなしだ。
──まぁ、短期間で発酵に成功したせいで、ホワイトドラゴンが悪酔いすることになったんだけどね。
「さて、と」
持ってきた神樹の実を全て圧搾機に投入し終わり、うーんと背筋を伸ばす。
「作業はこのくらいにしてログハウスに戻りましょうか。アルレーネ様」
「そうですね。もう皆さん集まってると思いますよ」
どこかウキウキしているアルレーネ様。
前回作った神樹酒は、全て森の動物やホワイトドラゴンに振る舞った。
なので、今回作り終えた第二弾の神樹酒を使って、ささやかながら「神樹酒完成パーティ」を開くことにしたのだ。
裏庭を会場にしているので、みんな集まっているだろう。
ログハウスに戻り、裏庭へ向かう前に寝室を覗いてみた。
ベッドの上に、タオルにくるまれた巨大な卵が鎮座している。
ホワイトドラゴンから貰った卵だ。
孵化の仕方なんてわからなかったけれど「温かいタオルで包んでおけばいい」とアルレーネ様が教えてくれた。
一体、どんなドラゴンが生まれてくるんだろう。
期待──というより、不安が大きい。
だって、あのドラゴンの子どもだし。
真面目なドラゴンに生まれてくれよ?
そんなことを願いつつ卵を優しく撫でて、裏庭へと向かう。
「……おお、お屋形様だ!」
縁側の窓を開けた瞬間、集まってくれた皆が一斉にこちらを見た。
ハク一族に、サラさん。
シャドウさんに、ケンタウルスさんやオークさん。
たぬきちゃんとアヒルちゃん。
トトさんの姿もある。
全員、神樹酒が注がれたジョッキを手に持っていた。
「ごむ(はい、これ)」
「……お、サンキュー」
ゴレムにジョッキを渡されたので、小さく掲げた。
「みんな集まってくれてありがとう。神樹酒はここにいるみんなの力があったからこそ完成した、最高のお酒だ。だから今日は、この最高の一杯をみんなと一緒に味わいたい」
「おお~っ」
皆がにこやかにジョッキを挙げる。
よく見ると、精霊さんも小さなコップを手に持っていた。
彼らも功労者だからね。
ぜひとも一緒に神樹酒を楽しんでもらいたい。
「ではみんな、神樹の恵みに感謝して、かんぱ──」
「カ、カカ、カズマ様ぁっ!」
と、裏庭に甲高い声が響いた。
血相を変えて走ってくるアルレーネ様。
その後ろに、ゴレム1号の姿も。
一体、どうしたんだろう?
「ごむ! ごむむ!(大変だ! 大変なことが起きた!)」
「……え? 大変なこと?」
嫌な予感が脳裏をよぎる。
また面倒な事件でも起きたのか──と身構えたそのとき、ゴレムがそっと両手で何かを差し出してきた。
それは2通の手紙だった。
アルレーネ様の話では、馬に乗った騎士風の男と、小型竜「ワイバーン」にまたがったサラマンダーが、それぞれ一通ずつ手紙を置いていったらしい。
「手紙? 誰からだろう?」
「ご、ごむ~(す、すごい方たちからの手紙だよ!)」
「すごい方?」
一体誰だ?
開墾スキルの【対話】を使って文字を読めるようにして、手紙に目を通す。
「……なになに? 『勇猛なるカズマ殿、このたび、我が領土を脅かしていた白き暴風ホワイトドラゴンを鎮め、王国と民の安寧を守ってくれたこと、心より感謝する。国王ベラトリクス』……」
なるほどなるほど。
国王様からの手紙か。
「……うぇっ!? こ、国王様!?」
素っ頓狂な声が出てしまった。
凄い封蝋がされてるなとは思ってたけど、国王様から直々の手紙だったの!?
この世界の常識はよくわからないけど、普通ありえないよね!?
「へぇ、王室からの感謝状みたいだな」
面白そうに、トトさんが続ける。
「ホワイトドラゴンを鎮めたお礼ってわけだな。これはすごい謝礼が期待できそうだ!」
「しゃ、謝礼……」
ってなんでしょうか。
また、大量の金貨が送られてきたりするの?
「ごむ~ん! (こっちの手紙の送り主もすごいよ!)」
ゴレムに促され、もう一通の手紙を開く。
「北方の嶺を支配し、幾世紀にもわたり我が領土と人の地を等しく荒らしてきた白き暴嵐ホワイトドラゴン。貴殿がこれを鎮めたと聞き、深き敬意と感謝をここに表す。魔王ネロス」
しん、と静まり返った裏庭に、冷えた風が通り抜けていく。
わふっとハクが小さく吠えた。
「ほう? 魔王様に一目置かれるとは、流石だなカズマ」
「好意的なお返事をいただけたようです良かったです。この感じだと、いずれお目通しに叶うかもしれませんね、カズマ様!」
にこやかにアルレーネ様が笑う。
ま、魔王様にお目通し!?
全然良くないんですけど!?
しかし、人間の王様とモンスターの王様、両方から感謝状が届くなんて、もはや呆れるしかない。
「おお、魔王様!?」
だけど、顔が引きつってしまう僕をよそに、オークさんや他の住民たちは大興奮だった。
「魔王ネロス様、直々のお手紙とは!」
「魔王様に一目置かれるとは……やりますな! お屋形様!」
「これで里も安泰だな!」
「カズマ様バンザイ!」
「お屋形様バンザイ!」
「ごむごむ(よくわからないけど、やったぁ!)」
「……ねぇ、みんなちょっとやめてくれない?」
担ぎ上げてくる住民たちに、青ざめてしまう。
とはいえ、ふたりの王様に大きな借りを作ったというのは、里の未来にとってプラスなのかもしれない。
超ポジティブに考えれば、だけど。
「ひ、ひとまず、乾杯しようか……」
げんなりした気持ちを抑えつつ、控え気味にジョッキを掲げる僕。
一方、興奮冷めやらぬ住民たちは、勢いよく天に突き上げるようにジョッキを振り上げた。
「し、神樹の里の未来に……」
「「「乾杯っ!」」」
消沈した僕の声に続き、みんなの声が裏庭に響き渡る。
その威勢に背中を押されるように、僕は神樹酒をごくりと喉奥に流し込んだ。
しゅわっと弾ける炭酸の刺激が心地よく、香りと味わいが体に染み渡る。
一口、また一口とゆっくり味わうたび、自然と笑みがこぼれてくる。
飲みやすくて、最高にうまい。
少しだけ元気を取り戻した僕は、感慨を込めて静かにつぶやく。
「……うん、これは神樹の里の名産としてふさわしいね」
ふと空を見上げると、青々とした神樹が目に映る。
以前は僕の魂とリンクしてしまっていた神樹。
そのせいで、僕の命は朽ちかけ、散々な人生を送るハメになった。
だけど──新たに迎えた二度目の人生では、神樹にたくさんのプレゼントをもらっている。
「こんな美味しいお酒をくれて、ありがとうな」
ざわざわと神樹の葉が揺れる。
そんな神樹に、小さく乾杯。
まもなく神樹の里に、二度目の春がやってくる。
────────────────────────
ここまでお読み頂きありがとうございます!
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グラストNOVELSさんより、2月に発売予定です。
新しいキャラ追加や加筆修正マシマシで、WEB版を読まれた方も楽しめる内容となっております!どうぞお楽しみに!
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