カラオケに行った日から早くも一週間が経ったが、翼は優実ちゃんのお守りがあるため中々予定が合わないでいた。
夜に電話をしたりしているが、優実ちゃんとの掛け合いが微笑ましく思う反面、翼の様子が少し硬く感じてしまうようになった。
この変化は俺の杞憂に過ぎないのか、そうだとしても胸に突っかかる棘が中々抜けてくれなかった。
『おい。あぶねぇだろ』
『にぃにうるさい!!ゆみできうもん!!』
『お前が怪我でもしたら俺が怒られんだよ。するなら母さんいるときにしろ』
いつものように優実ちゃんと戦闘する翼を通話越しに聴きながら、提出物を広げる。
ところがシャーペンを握ったところで、『ちょ、優実が言うこと聞かねぇから先飯にするわ。あとで掛け直す』と電話を切られてしまった。
「......翼、なんか荒れてるな」
静かになった部屋に自分の声が響く。
翼のことだから自分のキャパを越えるような真似はしないと思うが、なんとなくモヤっと胸が浮かぶような曖昧な感覚になる。
気持ちを切り替えるため今の内に風呂に入ろうと、重い腰をあげ、下着とタオルを手に持った。
階段を降りて、リビングの前を通ると、母さんがダイニングテーブルからこちらを見ていた。
「あら、翼くんとの電話はもう終わったの?」
「一旦妹に夕飯食べさせるみたい。また夜にするよ」
「そう。頼りになる子なのねぇ」
「頼りになる」その一言で括るには、翼は苦しそうだけれど。
お互いのプライベートなんて深ぼっていないし、憶測しか立てられないけど、心から笑ってない翼はわかる。
母さんの話になんとなくの共感を示し、俺は脱衣所へと向かった。
♦︎
夜の23時前。
翼からの着信と共に、2階の自室へと足を運ぶ。
スマホから開放的に聞こえる翼の声にこっそり安堵する。
『さっきはごめんな。優実のやつようやく寝たわ』
「全然。お疲れ。今日お母さん遅いのか?」
『そう。仕事忙しいみたい』
『そろぼち帰ってくると思う』とあくび混じりの聞こえずらい言葉で発した翼に、釣られるようにあくびをする。
すると、ニヤニヤ面白そうに話し始める翼。
『知ってるかぁ?あくびが移る相手って相性いいらしいぜ』
「そうなん?俺たち相思相愛なんだな〜笑」
『うぇ〜笑』
普段通り、馬鹿言って笑って。
改めて考えても、翼は俺の灰色の世界に色をつけてくれた。
楽しくなかった日常に、楽しみだと感じる未来をくれた。
翼と友達になれて、本当に良かった。
心の中で今の有り難みを噛み締めていると、翼の口から『母さん帰ってきたわ〜』と気の抜けた声がとんできた。
「まじ?終わる?」
『んや?俺の部屋には来ねぇよ』
ダラダラとお互いが何かをしながら、片手間で話すこの時間は俺には心地のいいものだ。
翼と談笑していると、スマホの向こう側から扉の開く音が聞こえた。
『翼〜?引越しの準備終わってるの?』
「え...?」
『母さん!電話中!...蓮?おーい!れ......__』
引越し...?
夜に電話をしたりしているが、優実ちゃんとの掛け合いが微笑ましく思う反面、翼の様子が少し硬く感じてしまうようになった。
この変化は俺の杞憂に過ぎないのか、そうだとしても胸に突っかかる棘が中々抜けてくれなかった。
『おい。あぶねぇだろ』
『にぃにうるさい!!ゆみできうもん!!』
『お前が怪我でもしたら俺が怒られんだよ。するなら母さんいるときにしろ』
いつものように優実ちゃんと戦闘する翼を通話越しに聴きながら、提出物を広げる。
ところがシャーペンを握ったところで、『ちょ、優実が言うこと聞かねぇから先飯にするわ。あとで掛け直す』と電話を切られてしまった。
「......翼、なんか荒れてるな」
静かになった部屋に自分の声が響く。
翼のことだから自分のキャパを越えるような真似はしないと思うが、なんとなくモヤっと胸が浮かぶような曖昧な感覚になる。
気持ちを切り替えるため今の内に風呂に入ろうと、重い腰をあげ、下着とタオルを手に持った。
階段を降りて、リビングの前を通ると、母さんがダイニングテーブルからこちらを見ていた。
「あら、翼くんとの電話はもう終わったの?」
「一旦妹に夕飯食べさせるみたい。また夜にするよ」
「そう。頼りになる子なのねぇ」
「頼りになる」その一言で括るには、翼は苦しそうだけれど。
お互いのプライベートなんて深ぼっていないし、憶測しか立てられないけど、心から笑ってない翼はわかる。
母さんの話になんとなくの共感を示し、俺は脱衣所へと向かった。
♦︎
夜の23時前。
翼からの着信と共に、2階の自室へと足を運ぶ。
スマホから開放的に聞こえる翼の声にこっそり安堵する。
『さっきはごめんな。優実のやつようやく寝たわ』
「全然。お疲れ。今日お母さん遅いのか?」
『そう。仕事忙しいみたい』
『そろぼち帰ってくると思う』とあくび混じりの聞こえずらい言葉で発した翼に、釣られるようにあくびをする。
すると、ニヤニヤ面白そうに話し始める翼。
『知ってるかぁ?あくびが移る相手って相性いいらしいぜ』
「そうなん?俺たち相思相愛なんだな〜笑」
『うぇ〜笑』
普段通り、馬鹿言って笑って。
改めて考えても、翼は俺の灰色の世界に色をつけてくれた。
楽しくなかった日常に、楽しみだと感じる未来をくれた。
翼と友達になれて、本当に良かった。
心の中で今の有り難みを噛み締めていると、翼の口から『母さん帰ってきたわ〜』と気の抜けた声がとんできた。
「まじ?終わる?」
『んや?俺の部屋には来ねぇよ』
ダラダラとお互いが何かをしながら、片手間で話すこの時間は俺には心地のいいものだ。
翼と談笑していると、スマホの向こう側から扉の開く音が聞こえた。
『翼〜?引越しの準備終わってるの?』
「え...?」
『母さん!電話中!...蓮?おーい!れ......__』
引越し...?
