「ラッキー!二人なのに広めの個室だぜ!」
久しぶりのカラオケに来た翼と、そもそもカラオケ自体初めてに近い俺。
興奮の仕方に差が出るのは当然だ。
二人分の部屋は本来どのくらいの大きさなんだ?
俺はマイクと液晶画面があることにまず感動を覚えるんだが。
タッチパネルを操作する翼とは反対側の席に座り、なんとなく流れている広告を見やる。
有名なアイドルが横並びになってアルバムの宣伝をしている。
へーと思いながら画面を見ていると、音量を調節している表記が上部に映った。
「いい感じに設定してるから待ってな」
「お、おう」
なんの下準備なのかわからず、ドリンクバーで注いできた炭酸で喉を刺激した。
迷いなくぽちぽち画面を操作した後、翼は俺に手渡してくる。
「先歌っていいよー」と笑顔で言われてしまい、断れずに歌えそうな曲を入れた。
「〜〜♪」
「ブラボー!!!」
一つ分の手を叩いて賞賛する音が響く。
自分の声がスピーカーから反響してくることに、違和感を覚えながら歌い終えたものの、スッキリしてホワホワしている。
楽しい...
カラオケなんて来る機会なかったし、今まで無縁だったけれど、こんなに楽しいものだったのか。
続いて熱唱している翼の横顔を見つめながら、俺は胸に宿る温かさを大事に包み込んでいた。
「次、デュエットしよーぜー」
「え、一緒に歌うのは...俺、下手だっただろ」
各々歌う分には気にしないが、デュエット曲で翼の足を引っ張るのはごめんだ。
気まずさを洗い流すように炭酸を喉に流し込む。
だけど、翼は純粋な顔で俺を見る。
「カラオケは楽しんでなんぼだろ。それに、蓮の歌下手じゃなかったぞ?」
きょとんと丸い瞳で見つめてくる翼に、嘘をついてるなんて疑える余地はどこにも無く、思いのままに頷いた。
伴奏が流れ、マイクが二つ同時に使用されている。
色分けされている歌詞を見つめながら、音程がズレないように力む。
楽しそうな翼の歌声だけが聞こえ、顔まで見る余裕はなかった。
「ぷははは!!蓮必死すぎ笑」
「見んなよ笑」
マイクを硬く握りしめているところを翼に見られ、大爆笑が巻き起こる。
普段歌なんて歌わないから若干酸欠になっているところに追い討ちをかける。
しばらくして涙を拭う翼からの提案で、ドリンクバーに付いているソフトクリームを、取りに行こうかという話になった。
謎にドヤ顔をした翼が振り向く。
「どっちが綺麗にできるか勝負な」
「報酬はなんだ?」
「今日のカラオケ代出す」
「乗った」と即答し、ソフトクリーム台の前に立つ。
レバーを手前に引き、ゆっくりと絞り出されるソフトクリームを慎重に器を回して形を作る。
思いの外ぬるぬる出てくるので、戸惑っていると、いつの間にかてっぺんがペチョンと倒れてしまった。
「うわ!惜しい...」
ちゃんと悔しがりながらも、下の方は綺麗に巻けて満足した俺は翼に場所を譲った。
トッピングもあるようで、チョコソースをかけることにした。
隣の翼を見ると、チョコのソフトクリームを選んだようで、真剣に取り組んでいる。
そう思ったのも束の間、翼の口からアホみたいな単語が飛び出した。
「絶対うんこにする」
俺はこいつよりは絶対頭がいいし、どちらかというと真面目組にいる。(インキャなだけ)
テストの点数だって俺の方が高かったみたいだしな。
だが...男子高校生には少年心が備わっているものだ。
正直めっちゃ見たい。
誘惑に負けマジマジと翼の育てるうんこを見ていると、だいぶ本気のようで、器の向きをミリ単位で合わせている。
(本気やん)
邪魔をして、傑作を見れなくなっては困るので、心の中で突っ込む。
そうこうしてる内に翼が操作する機械は、動きを止めた。
ゆっくりとこちらに振り返り、ゆっくりと前にそれを差し出した翼は、ニッカリと口角を上げる。
「めっっっっっっちゃっ、うんこ!!!!」
「すげぇぇ!!!!めっちゃ綺麗!!!!!」
そこそこ身長がある男二人がロビーで、ただのチョコアイスで盛り上がっている。
周りから見たらさぞ滑稽なことだろう。
そうは言っても俺たちは真剣だ。
「よし、翼。これは俺の負けだ。カラオケ代は出そう」
「うっし!!!あざっす!!!」
ブブッ。
翼のスマホがバイブ音を鳴らす。
個室に戻り席に座った俺は、久しく食べていないソフトクリームを頬張る。
見えるところに置かれたうん...チョコアイスを見ていると、翼の思い詰めた顔が視界の端に映り込んだ。
「ん、どした?」
「っ、いや、なんでもねぇ!うんこ食べよ〜」
同じようにアイスを頬張る翼の瞳の奥には、若干の虚ろさが滲んでいた。
久しぶりのカラオケに来た翼と、そもそもカラオケ自体初めてに近い俺。
興奮の仕方に差が出るのは当然だ。
二人分の部屋は本来どのくらいの大きさなんだ?
俺はマイクと液晶画面があることにまず感動を覚えるんだが。
タッチパネルを操作する翼とは反対側の席に座り、なんとなく流れている広告を見やる。
有名なアイドルが横並びになってアルバムの宣伝をしている。
へーと思いながら画面を見ていると、音量を調節している表記が上部に映った。
「いい感じに設定してるから待ってな」
「お、おう」
なんの下準備なのかわからず、ドリンクバーで注いできた炭酸で喉を刺激した。
迷いなくぽちぽち画面を操作した後、翼は俺に手渡してくる。
「先歌っていいよー」と笑顔で言われてしまい、断れずに歌えそうな曲を入れた。
「〜〜♪」
「ブラボー!!!」
一つ分の手を叩いて賞賛する音が響く。
自分の声がスピーカーから反響してくることに、違和感を覚えながら歌い終えたものの、スッキリしてホワホワしている。
楽しい...
カラオケなんて来る機会なかったし、今まで無縁だったけれど、こんなに楽しいものだったのか。
続いて熱唱している翼の横顔を見つめながら、俺は胸に宿る温かさを大事に包み込んでいた。
「次、デュエットしよーぜー」
「え、一緒に歌うのは...俺、下手だっただろ」
各々歌う分には気にしないが、デュエット曲で翼の足を引っ張るのはごめんだ。
気まずさを洗い流すように炭酸を喉に流し込む。
だけど、翼は純粋な顔で俺を見る。
「カラオケは楽しんでなんぼだろ。それに、蓮の歌下手じゃなかったぞ?」
きょとんと丸い瞳で見つめてくる翼に、嘘をついてるなんて疑える余地はどこにも無く、思いのままに頷いた。
伴奏が流れ、マイクが二つ同時に使用されている。
色分けされている歌詞を見つめながら、音程がズレないように力む。
楽しそうな翼の歌声だけが聞こえ、顔まで見る余裕はなかった。
「ぷははは!!蓮必死すぎ笑」
「見んなよ笑」
マイクを硬く握りしめているところを翼に見られ、大爆笑が巻き起こる。
普段歌なんて歌わないから若干酸欠になっているところに追い討ちをかける。
しばらくして涙を拭う翼からの提案で、ドリンクバーに付いているソフトクリームを、取りに行こうかという話になった。
謎にドヤ顔をした翼が振り向く。
「どっちが綺麗にできるか勝負な」
「報酬はなんだ?」
「今日のカラオケ代出す」
「乗った」と即答し、ソフトクリーム台の前に立つ。
レバーを手前に引き、ゆっくりと絞り出されるソフトクリームを慎重に器を回して形を作る。
思いの外ぬるぬる出てくるので、戸惑っていると、いつの間にかてっぺんがペチョンと倒れてしまった。
「うわ!惜しい...」
ちゃんと悔しがりながらも、下の方は綺麗に巻けて満足した俺は翼に場所を譲った。
トッピングもあるようで、チョコソースをかけることにした。
隣の翼を見ると、チョコのソフトクリームを選んだようで、真剣に取り組んでいる。
そう思ったのも束の間、翼の口からアホみたいな単語が飛び出した。
「絶対うんこにする」
俺はこいつよりは絶対頭がいいし、どちらかというと真面目組にいる。(インキャなだけ)
テストの点数だって俺の方が高かったみたいだしな。
だが...男子高校生には少年心が備わっているものだ。
正直めっちゃ見たい。
誘惑に負けマジマジと翼の育てるうんこを見ていると、だいぶ本気のようで、器の向きをミリ単位で合わせている。
(本気やん)
邪魔をして、傑作を見れなくなっては困るので、心の中で突っ込む。
そうこうしてる内に翼が操作する機械は、動きを止めた。
ゆっくりとこちらに振り返り、ゆっくりと前にそれを差し出した翼は、ニッカリと口角を上げる。
「めっっっっっっちゃっ、うんこ!!!!」
「すげぇぇ!!!!めっちゃ綺麗!!!!!」
そこそこ身長がある男二人がロビーで、ただのチョコアイスで盛り上がっている。
周りから見たらさぞ滑稽なことだろう。
そうは言っても俺たちは真剣だ。
「よし、翼。これは俺の負けだ。カラオケ代は出そう」
「うっし!!!あざっす!!!」
ブブッ。
翼のスマホがバイブ音を鳴らす。
個室に戻り席に座った俺は、久しく食べていないソフトクリームを頬張る。
見えるところに置かれたうん...チョコアイスを見ていると、翼の思い詰めた顔が視界の端に映り込んだ。
「ん、どした?」
「っ、いや、なんでもねぇ!うんこ食べよ〜」
同じようにアイスを頬張る翼の瞳の奥には、若干の虚ろさが滲んでいた。
