窓の外から降り注ぐ光を、楽しみに思うのはいつぶりだろう。
今日は翼と校門の前で待ち合わせをしている。
ネットで出会った友達ーー。
いや、勝手に友達と呼んでいいのだろうか。
「いいよな...?電話してるしな」
通話の難易度が星五の俺からすると、通話をしている=友達なのである。
だが、翼から送られてきた外見の情報が、【もっさり黒髪にマスク】だった。
これは、俺と同じ、所謂ーーインキャなのではないかと考えている!
俺も最近散髪に行った為マシだが、少しもさっとした黒髪だからな。
謎の勇気をもらった俺は、珍しく軽い足取りで準備をして家を飛び出した。
♦︎
7時半にもなると、登校してくる生徒の数もポツポツと増え始める。
校門の前で突っ立っている俺に見向きもせず、昇降口へと向かう生徒を見ながら、スマホを開く。
約束の時間、5分を過ぎた今、もっさり黒髪マスクは見受けられない。
(やっぱり違ったのかな...でも、すなわちタッキーなんてそんな何人もーー)
諦めかけたその時、「おーい」と遠くから聞こえ、他の生徒に混じって視線を上げると、多分もっさり黒髪マスクが視界に入った。
おそらく、あれが″もっさり″黒髪なのだろう。
(............)
「お待たせ!蓮だよな?」
......何が【もっさり】だ!!!!
ゴリゴリセットしてる、ゆるっとウェーブ黒髪じゃねぇか!!!!
俺、散髪行っててよかった!!!!
今はそれなりの見た目だろ!!!!
心の中で、同類だと括っていた裏切り者翼に突っ込んでいると、「おはよう!」と追加で声をかけられた。
「...今日からお前のことは、虚言もっさりって呼ぶわ」
「なんで?」
***
翼とのリアル対面を果たした俺だが、普通に騙されて怒っている。
何がもっさりだ!!!
よくよく考えてみると、あんなすぐに電話に誘えて、俺でも会話に困らず過ごせた時点でコミュ力お化けだわ。
そんな気が立っている俺だが気持ちを落ち着かせるため、周りの生徒がホームルームまでの時間を、充実させるように過ごしているのを目で追う。
楽しそうに笑い声を奏でながら話している女子生徒、読書をしている生徒、手押し相撲をして勝利数を競っている男子生徒、黒板の日付を書き換えている日直。
賑やかな教室内を見渡し終えた俺は、机に突っ伏す。
視覚の情報を削っても、聴覚からの情報が周りの動きを予測する。
このまま10分寝るか...
「ーーっ、蓮!!!」
「っ、!?」
中学半ば辺りから高校にかけての数年間、俺の名前が教室内に響いたことはない。
その記録がたった今、更新された。
相手は言わずもがな、つばーー。
「え、だれ?」
「なんでだよ。翼だわ」
虚言もっさりはマスクを外していて、顔の印象がガラリと変わっていた。
マスクがない顔面は陽キャ特有の煌めきを放っていて、周りの女子生徒は釘付けとなって見ている。
ぼーっと虚言もっさりの顔を見ていると、俺自身にも視線が集まっていることに気が付く。
俺も周りの生徒をしばらく見返してハッとした。
俺の名前が響き渡ったから、みんな珍しがってるんだ!
途端に恥ずかしくなった俺は、虚言もっさりのいるところまで走っていき、肩を押すようにして流れるように廊下に出た。
「うぉ、なんだよ」
「そっちこそなんだよ!!俺に何か用かよ!!」
廊下まで突き刺さる視線を避けるように背を向ける。
「用って、なんだよ。話に来ちゃ悪いか?」
ハッと顔を上げる。
俺に話にきた理由を聞いてるんだよ。
それとも、理由もなしに話にくるような相手なのかよ。
それって、友達じゃないか。
だる絡みするように肩に腕を回して、体重をかけた。
「まぁ、友達の俺が話をしてやろう」
「おう!すなわちタッキーいるじゃん?ーー」
へ?友達って否定されなかった。
肩を組んだ腕を振り払われると思っていたが、いつまで経っても振り払われず、すなわちタッキーの話で盛り上がっている。
なんか、友達みたいだ。いや、友達だ。
内心にんまりしている俺を他所に、虚言もっーー翼が話している内容にこれでもかと言うほど頷いた。
「おっ、まじ〜?ほな、焼肉行こーなー」
「じゃあな!」と他クラスに帰って行った後ろ姿を眺める。
焼肉?
いつの間にか、すなわちタッキーから焼肉の話に変わっていたらしい。
てか、俺友達と焼肉デビューするの?
世界がまた彩る音が聞こえ、俺は気分よく自分の席に戻った。
今日は翼と校門の前で待ち合わせをしている。
ネットで出会った友達ーー。
いや、勝手に友達と呼んでいいのだろうか。
「いいよな...?電話してるしな」
通話の難易度が星五の俺からすると、通話をしている=友達なのである。
だが、翼から送られてきた外見の情報が、【もっさり黒髪にマスク】だった。
これは、俺と同じ、所謂ーーインキャなのではないかと考えている!
俺も最近散髪に行った為マシだが、少しもさっとした黒髪だからな。
謎の勇気をもらった俺は、珍しく軽い足取りで準備をして家を飛び出した。
♦︎
7時半にもなると、登校してくる生徒の数もポツポツと増え始める。
校門の前で突っ立っている俺に見向きもせず、昇降口へと向かう生徒を見ながら、スマホを開く。
約束の時間、5分を過ぎた今、もっさり黒髪マスクは見受けられない。
(やっぱり違ったのかな...でも、すなわちタッキーなんてそんな何人もーー)
諦めかけたその時、「おーい」と遠くから聞こえ、他の生徒に混じって視線を上げると、多分もっさり黒髪マスクが視界に入った。
おそらく、あれが″もっさり″黒髪なのだろう。
(............)
「お待たせ!蓮だよな?」
......何が【もっさり】だ!!!!
ゴリゴリセットしてる、ゆるっとウェーブ黒髪じゃねぇか!!!!
俺、散髪行っててよかった!!!!
今はそれなりの見た目だろ!!!!
心の中で、同類だと括っていた裏切り者翼に突っ込んでいると、「おはよう!」と追加で声をかけられた。
「...今日からお前のことは、虚言もっさりって呼ぶわ」
「なんで?」
***
翼とのリアル対面を果たした俺だが、普通に騙されて怒っている。
何がもっさりだ!!!
よくよく考えてみると、あんなすぐに電話に誘えて、俺でも会話に困らず過ごせた時点でコミュ力お化けだわ。
そんな気が立っている俺だが気持ちを落ち着かせるため、周りの生徒がホームルームまでの時間を、充実させるように過ごしているのを目で追う。
楽しそうに笑い声を奏でながら話している女子生徒、読書をしている生徒、手押し相撲をして勝利数を競っている男子生徒、黒板の日付を書き換えている日直。
賑やかな教室内を見渡し終えた俺は、机に突っ伏す。
視覚の情報を削っても、聴覚からの情報が周りの動きを予測する。
このまま10分寝るか...
「ーーっ、蓮!!!」
「っ、!?」
中学半ば辺りから高校にかけての数年間、俺の名前が教室内に響いたことはない。
その記録がたった今、更新された。
相手は言わずもがな、つばーー。
「え、だれ?」
「なんでだよ。翼だわ」
虚言もっさりはマスクを外していて、顔の印象がガラリと変わっていた。
マスクがない顔面は陽キャ特有の煌めきを放っていて、周りの女子生徒は釘付けとなって見ている。
ぼーっと虚言もっさりの顔を見ていると、俺自身にも視線が集まっていることに気が付く。
俺も周りの生徒をしばらく見返してハッとした。
俺の名前が響き渡ったから、みんな珍しがってるんだ!
途端に恥ずかしくなった俺は、虚言もっさりのいるところまで走っていき、肩を押すようにして流れるように廊下に出た。
「うぉ、なんだよ」
「そっちこそなんだよ!!俺に何か用かよ!!」
廊下まで突き刺さる視線を避けるように背を向ける。
「用って、なんだよ。話に来ちゃ悪いか?」
ハッと顔を上げる。
俺に話にきた理由を聞いてるんだよ。
それとも、理由もなしに話にくるような相手なのかよ。
それって、友達じゃないか。
だる絡みするように肩に腕を回して、体重をかけた。
「まぁ、友達の俺が話をしてやろう」
「おう!すなわちタッキーいるじゃん?ーー」
へ?友達って否定されなかった。
肩を組んだ腕を振り払われると思っていたが、いつまで経っても振り払われず、すなわちタッキーの話で盛り上がっている。
なんか、友達みたいだ。いや、友達だ。
内心にんまりしている俺を他所に、虚言もっーー翼が話している内容にこれでもかと言うほど頷いた。
「おっ、まじ〜?ほな、焼肉行こーなー」
「じゃあな!」と他クラスに帰って行った後ろ姿を眺める。
焼肉?
いつの間にか、すなわちタッキーから焼肉の話に変わっていたらしい。
てか、俺友達と焼肉デビューするの?
世界がまた彩る音が聞こえ、俺は気分よく自分の席に戻った。
