水と油、混ざり合う青

桜が舞っている。
駅は人で賑わっている。

【着いた?】

【翼...悲報。迷ってる。出るホームミスった】

【は!?】

明々後日から大学生の俺は、無事に第一志望校に合格し、上京を決意した。
何だが、早速人の波に流れてしまい、駅内で道に迷っている。
幸先が不安だが、翼からそこを動くなとお叱りを受け、しおしおとホームの椅子に腰掛けている。
キョロキョロしながら、人が乗っては降りてと目まぐるしく変化する様を眺める。

「あ、いた。おーい!蓮!」

聞き覚えのある声が聞こえ、俺の体は一気に戦闘モードを解除する。
振り返ると、虚言もっさりだった黒髪から、柔らかい茶髪へと変化した翼がいた。
それ以外は何も変わってなーー。

「何で、電車降りるだけでミスんだよ!!」

「うぐっ、だって都会なんて初めてなんだぞ!!翼は慣れたものかもしんないけど!!」

再会早々ギッと睨み合ってきゃんきゃん言ってる俺と翼。
二年間は通話とメッセージのみのやり取りで、リアルで会ったりはしていなかった。
【同じ大学に入学する】、それだけを糧にこの二年、二人で猛勉強したのだった。
それと結局、お守りを開ける日は来なかった。
離れたら灰色の世界になると思っていたのが間違いで、一度繋がれた俺らは物理的距離ができても友達のままだった。

「〜〜...ごめんなさい」

「っ、俺も言い過ぎた。ごめん。...上京おめでとう」

顔を見上げ目線が絡み合うと、高校生の時のようにケタケタ腹を抱える。
やっぱり、茶髪になっただけで翼は翼のままだ。
そして、上京してきただけでなく、本日から俺と翼で同居が始まる...はずだったのだが、翼の男友達が二人追加され、男四人で同居生活が始まることになっている。
俺もその二人とは通話をする仲になっており、そんなに緊張はしていない。

「同居する二人も同じ大学だったっけ?」

「そうそう」

同い年で、同じ大学。
............
俺に、三人友達ができた!!!!!!
こんなに微笑ましいことはない!!!!!!

スーツケースを転がしながら、翼の隣に並ぶ。
五感全てに知らない情報が入ってくる。
見たことのない建物や、食べ物、人の数。
これから新生活が始めるんだ。
躊躇うことなく前に進む俺を、不安げに昔の俺が見ている。
ーー大丈夫だ。
翼が教えてくれた世界は、
これまでもこれからも、ちゃんと楽しいよ。