「結局ずっと、みんなから言祝ぎを口にしろって怒られ続けたなぁ」
「巫寿はマイナス思考だからな。これからも何度でも言い続けるぞ。その癖を治すまで」
「うん、うん……。よろしくね」
その背中に手を回して抱き締め返す。少しでもその熱を、匂いを、存在を感じられるように。一人になった時に思い出して、心丈夫であれるように。
「楽しいことだけ考えろ。自分の中の言祝ぎを高めろ。巫寿は絶対に負けない。巫寿はみんなから祝福されている、愛されている」
たくさんの愛と祝福を貰った。友達からも、家族からも、先生からも、大好きな人からも。
うん、と微笑む。目尻から涙が溢れた。
それらはきっと足元を照らし、ゆくべき道を示し、倒れそうになる背中を支え、隣で共に戦ってくれるから。
その時、周囲からヒューッと指笛を吹く音や拍手する音が聞こえた。顔を出すと口元をにやりと上げた満面の笑みで皆が手を叩いていた。
「ナイス恵衣! この上ない言祝ぎだったぞー!」
「若いなお前ら! お幸せにな!」
「こりゃどんな言祝ぎも敵わんわな!」
野次はほとんど大人達だった。クラスメイトや先輩後輩は顔を真っ赤にして呆然と立っている。
そしてやっと自分がどういう状況だったのかを思い出し、火がついたかのように全身がボッと熱くなった。
「いや〜、いつか告白するだろうなとは思ってたけど、まさかこのタイミングでぶつけてくるとは流石恵衣。今朝から持ってたその白衣、このためだったんだね」
からかいたくって仕方がない、という表情の嘉正くんが歩み寄ってきた。
既にそれも織り込み済みだったのか、顔があげられない私とは正反対に、微塵も動揺せず「だったらなんだよ」と恵衣くんが答えた。



