私たちの間に沈黙が流れる。周りは静かなのに、ばくんばくんと心臓がうるさい。頬が火照るように熱い。
ふと、恵衣くんが右手に白衣を握りしめているのに気づいた。
「恵衣くん、その白衣────」
どうしたの?と聞くよりも先に、頭からバサリとその白衣を被された。目の前が真っ白になって、優しい柔軟剤と恵衣くんの匂いが混じった香りに全身が包み込まれる。
次の瞬間、頭に添えられた手に引き寄せられて重心が傾いた。とん、とおでこに硬いものにあたって、肩甲骨の間に熱がじんわりと伝わる。
何度も私を守ってくれたその熱が、誰のものなのかなんて確かめなくてもわかる。
被せられた白衣のせいで何も見えないけれど、私の耳元に顔が寄せられた気がした。
「────俺、お前が好きだ」
何度も何度も馬鹿だと罵られ、心配させるなと叱られ、不安げに名前を呼んだ声が、初めて想いを乗せた。
心臓で耳鳴りがなっているような気がして、指先が震えて膝の力が抜ける。思わず座り込みそうになって、でも腰に回された腕はしっかりと私を支えてよりいっそう強く抱きしめた。
同じ気持ちを抱いてくれるなんて、少しも思っていなかった。これは一方通行の想いできっと誰かに話したり表に出すことはなく終わる恋なんだって。
優しくしてくれるのは、手を引いてくれるのは、普段は見せない笑みを見せてくれるのは、私が心を許した仲間だからなんだって。



