や、と片手を上げて一歩前に出たのは嘉正くんだ。片目の眼帯が痛々しかった。
「嘉正くんその目……」
「あ、これ? もう痛くないし心配しないで。俺長男だから普段から人の面倒見ることが多いけど、こうなったお陰で皆から優しくされて結構気分いいんだよね」
あははと軽快に笑った嘉正くん。これって私も笑ってもいい場面だったんだろうか。あまりにも強かすぎる。
「俺も二人みたいに何か巫寿に渡せたらって思ってたんだけど、最後までなんにも思いつかなくてさ」
ごめんね、と手を合わせた嘉正くんに慌てて首を振る。
色んなプレゼントを貰って確かに嬉しかったけれど、泰紀くんにも伝えた通りみんなのその気持だけでも十分だった。
「騰蛇が傍にいるとはいえ、かむくらの社では巫寿ひとりだ。どうか無理しないで」
「うん。約束する。私ができる範囲のことを精一杯頑張ってくる」
うん、と満足気に笑った嘉正くんはきょろきょろと当たりを見回したあと私に向かって小さく手招きした。
「あのさ、プレゼントはないんだけど、巫寿が"絶対諦めてたまるか! 私は帰るんだ!"って思えるようなものは、多分用意できたんだよね」
「えっと……それは一体どういう?」
表情を変えずにニコニコ笑いながら、口元に手を当てる仕草をした。
耳を貸せということだろうか?
不思議に思いながらも頭を傾けると、嘉正くんが触れるか触れないか位の距離まで顔を寄せる。
「────俺、昨日瑞祥さんに告ったんだよね」
それだけ言うと顔を離した嘉正くん。
私たちの間を冷たい風がひゅるると通り抜ける。



