きっとたくさん連絡をくれていだろうし、お兄ちゃんの様子も知っているということは、きっとウチまで来るくらい心配してくれたんだろう。
届かないと分かっていて、心配かけてごめんね、と呟く。帰ったらちゃんと謝らないと。
俯いてふぅ、と小さく息を吐いた恵理ちゃん。顔をあげると目が合って、柔らかく微笑まれた。
『お説教はここまで。今度あった時にいーっぱい文句言うから覚悟しといてね? ────それで、巫寿はこらから大切なお役目があるんだよね? 泰紀も詳しくは教えてくれなかったんだけど、泰紀の表情からなんとなくわかったよ。すごく大変で、責任のあるお勤めなんでしょ?』
昔から恵理ちゃんはドキッとするほど勘が鋭い部分があった。私が隠し事をしていたり悩んでいたりする時はいち早く気づいて相談相手になってくれた。
懐かしい気持ちと、全て見透かされている気まずさに思わず苦笑いが零れた。
『そのお役目がどんなものなのか分からないから、大丈夫だよとか、巫寿ならできるよとか、無責任には言えないけど……』
そう言った恵理ちゃんは胸の前で静かに手を合わせて目を瞑った。
『────掛けまくも畏き 八百万の神々様の御前に 恐み恐み白さく どうか巫寿をお導きくださり 為すことすべてがうまくいきますよう お守りくださいと 恐み恐み白す』
少しつまりながら迷いのある発音で恵理ちゃんが唱えたのは、間違いなく祝詞だった。



