言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


はぁぁ、とサウナの中で息を吐くように深呼吸した瑞祥さんは、目を泳がせながら首の後ろを摩った。


「まぁ……悪い気はしねぇけどさ。でも巫寿は、きっと私よりももっと凄い巫女になるよ。だからさ、胸張って行け。自分の力を信じろ。戻ったら、またみんなで女子会しようぜ」


眩しそうに笑った瑞祥さんに、はい!と大きく頷いた。

次は俺かな?と背後から声をかけられて振り向くと、いつもと変わらない笑みを浮かべた薫先生が腰に手を当てて立っていた。


「や、調子どう?」


その口調が本当にいつも通りすぎて、思わずプッと吹き出した。


「ふふ……あんまりいつもと変わらないです」

「いいじゃん。いつも通りが一番だよ。こういう時に絶好調な奴ほど失敗するから。あはは」


失敗とか言うな!と方々から手が伸びて薫先生の頭や背中を叩いた。緊張感のないそんなやり取りになんだか気が抜ける。

止めてよ、と笑いながら反論した薫先生は、こほんと咳払いをして私に向き直った。


「こういう時、先生として何を言ったらいいのか分からないな。でも、俺が下手に声をかけて励まさなくても、君らはもう十分に強いよ。そうなるように、俺が育てたんだからね」


薫先生のウィンクに思わずまた吹き出す。

そうだ。私たちは、生まれ持った不利な状況からここまで上り詰めた最強の先生から全てを教えてもらったんだ。

教えてもらったことはちゃんとこの体が覚えている。知識や技術が、必ず私を守ってくれる。