聖仁さんと並んで微笑む二人の写真を思い出して言葉に詰まった。
「瑞祥さん、私あの時聖仁さんを────」
「それ以上は、何も言うな」
私の言葉を遮った瑞祥さんの表情はどこまでも優しい。
「あの時もし、他の誰かが犠牲になって聖仁がのこのこ帰って来てたら、私はあいつをぶん殴ってた。後輩ひとり守れず何がサイヤ人だってな。だから、誰も悪くない」
真っ赤に腫れた目を細めて笑う。苦しい感情も辛い経験も全てを受け入れるまでに、きっとたくさんの涙を流したんだろう。
それでも瑞祥さんは誰を責めるでもなく、前を向いてこうして笑っている。悲しみを乗り越えて、誰かを支えようと立ち上がっている。
泣き腫らした目は彼女の強さで、美しさだ。
「わたし、」
ん?と瑞祥さんが首を傾げた。
「私、将来は瑞祥さんみたいな巫女になりたいです」
これまで何となく自分は神修を卒業して巫女になって神職として生きていくのだと将来を思い浮かべていたけれど、今やっと、私が目指すものがはっきりと見えた。
私は、瑞祥さんのような美しさと強さを兼ね備えた、そんな巫女になりたい。
三回大きく瞬きした瑞祥さんは、やがて茹でダコのように顔を真っ赤にして後ろに仰け反った。
「なな、何言ってんだよ! もっと目指すべき人はいっぱいいるだろ! ほら、巫寿の師匠の志らくさんとか景福巫女頭とか!」
ゆっくりと首を振って瑞祥さんを真っ直ぐ見つめる。
確かに尊敬できる大人は沢山いる。私に道を示してくれた人たち皆が、素晴らしい神職だった。
ただ私が心からこの人のようになりたい、こんな背中を目指したいと思ったのは、瑞祥さんだ。



