言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「でもどうして? もう会えないと思ってたのに……」

「側役の二人が教えてくれたんよ。社入りの直前の休憩なら、会えるって」


そう答えたのは志らくさんだ。

大事な一番弟子が一人で出陣するんや、応援するのが師匠の勤めやろ。

そう言って少し照れくさそうに頬をかくと、私の目を覗き込むように力強く見つめた。


「巫寿ちゃんなら大丈夫や。この私が鼓舞の明を舞ってあげたんや、怖いもんなんてないやろ?」


執り行われた神事の中で、鼓舞の明を保有する巫寿たちによる奉納演舞があった。15人ほど集められた巫女たちの息の揃った舞は圧巻で、とりわけその中心で舞っていた志らくさんは、誰が見ても息を飲むほど美しかった。

な?と朗らかに笑った志らくさんに、目頭が熱くなった。はい!と大きくひとつ頷けば、志らくさんはフフンと満足げに鼻を鳴らした。

赤くなった目を隠すように顔を背けた志らくさん。「ほら次! 時間なくなるで!」と背を向けた。その後ろから現れた二人が「よっ!」と軽く手を挙げた。


「よく似合ってんじゃん、本巫女の衣装。私の方が先輩なのに、先越されちゃったな」


眩しそうに目を細めて小さく笑って肩をすくめると、高い位置でひとつに纏めた彼女の長い黒髪がさらりと肩にかかる。

私が神修に帰ってきた夜に一度顔を合わせたけれど、大切なクラスメイトを失ったばかりの彼女になんと声をかけたら良いのか分からず、ちゃんと顔を合わせ話すのは随分と久しぶりだった。


「瑞祥さん……」

「おう。思ったよりも元気そうだな。安心したぞ!」


私の頭を撫でようとして手を伸ばし、「ダメだったな」と宙を掴んで苦笑いを浮かべた。