休憩からなかなか戻ってこず、神事が始まる直前で合流した後輩二人。
『巫寿ちゃんッ……連れてきたよ!』
『あの人来てます! 巫寿ちゃんの、大切な人!』
肩で息をしながら伝えてくれた二人。
私の大切な人、浮かんだ顔は一つしかなかった。
どうして二人がそれを、どうやって連れてきたの、こんなことしたら怒られるよ、なんて言って連れてきたの────聞きたいことや言いたいことは沢山あった。
でもやっぱり私は真っ先に探してしまった。
そして必死に探さずとも、視線は吸い寄せられるように絡み合った。
いつもと変わらない、何を考えているのか分からない難しい表情。だけど射抜くような熱い真っ直ぐな瞳は、間違いなく私だけを見つめていた。
驚きと安心と、喜びと照れくささが混じりあって、きっと変な顔になってしまっていたと思う。そんな私の顔をあまりにも真剣に見つめてくるものだから、すぐに目を逸らしてしまったのが今となっては少し心残りだ。
もう誰にも会えないまま社入りすることになると思っていた。話すことはできなかったけれど、最後に一目会えただけでもう十分だ。
規則にうるさいあの恵衣くんが、規則を破って、自分の仕事を投げ出して会いに来てくれた。それだけでも恵衣くんの気持ちは伝わってくる。十分すぎるくらいに力を貰った。
────ただ。
ただ欲を言うなら、あの手で私の手を包み込んでほしかった。大丈夫だと背中に手を当てて欲しかった。
そうすればきっと不安なんて全部吹き飛んで、胸を張ってかむくらの社へ迎えたはずだ。



