階段をかけのぼる。喉がヒリヒリと痛み胸が苦しい。
けれどそんなことはどうでもよかった。ただ今はそんなことよりも真っ先に巫寿の元へ駆けつけたかった。
巫寿たちの休憩室がある三階へ着いた。人の話し声と足音が聞こえる。
先ほど千江が次の神事が始まると言っていたから、もう移動が始まっているのかもしれない。
階段の影から飛び出した。朱袴に千早と正装したたくさんの巫女たちが廊下にずらりと並んでいた。その奥に、桃の花の髪飾りが一瞬見えた。
白く細い指がその髪飾りを触ったのが見えて、胸が詰まる。彼女は今も一人、不安の中俺たちのためにあの場所に立ち続けている。
なのにどうして俺は、もっと早く会いに行こうとしなかったんだ。
列がゆったりと進み始めて、巫女鈴の清らかな音色が廊下に充満する。歩いていた神職や役人たちがその場で足を止めて一揖する。
済に並んで頭を下げた。
声をかけるか?
いや、巫寿が今行っている神事は非常に重要で神聖なものだ。移動とはいえ軽々しく声をかけていいものじゃない。
だとしたらどうすれば。
少しだけ頭を上げて列を見た。巫寿を囲うようにして巫女たちが並んでいて、巫寿の姿は見えなかった。
間違いなくすぐそこにいるのに、声をかけられないのがもどかしい。
その時、バタバタと廊下を駆け上がってくる足音が聞こえた。視線を向けると、盛福と玉珠が息を切らしながら追いついたところだった。
身だしなみを整えながら二人が列に加わる。巫女たちの列が割れたほんの僅かな隙間から顔が見えた。



