「いきなりどうした。どこに連れていくつもりだ」
「そんなの決まってるでしょう! みこっ……」
「盛福ちゃんダメッ! シーッ!」
ハッと口を抑えた盛福が、当たりをキョロキョロと見回した。
神職たちは自分のことで手一杯らしく三人を気にする素振りはなかった。
恵衣に耳を貸すように身振り手振りで示す。怪訝に思いながらも耳を寄せると盛福は口元を隠して顔を近付けた。
「巫寿ちゃんのとこに行くんですよ! 今しかゆっくり話せる時間がないんです!」
恵衣が目を見開いて二人を見た。
本来なら社入りする直前まで審神者代のそばにいなければならない側役二人が自分に逢いに来ていることを踏まえると、おそらく冗談ではない。
でも何故、今、俺なんだ。
「……神事の途中の審神者代に会うことは、何人たりとも許されないはずだが」
「だからなんなんですか!? 今しかないって言ってるじゃないですか! いいんですか、このまま会わずに社入りしちゃっても!」
「だからって俺がわざわざ会いに行く理由は────」
次の瞬間、後輩ふたりがダァァァッ!と奇声を上げて頭を掻きむしり、あまりの奇行に思わず後ずさった。
一人はさておき、お下げ髪の方はもう少し大人しい性格だと思っていたが。
流石に周囲にいた神職たちが「何事だ?」と視線を向けてくる。慌てて二人を社務所の外に押し出してピシャリと戸を閉めた。



