「恵衣、そこ終わったら社務所戻って玉串の準備頼めるか。やり方はわかるよな? 戻ってくる時についでに神饌を受け取って来てくれ」
静謐な本殿に自分の返事が響く。これから始まる大祭に緊張感が漂う祭壇へ深く頭を下げて本殿をあとにした。
外は天高く太陽が登っていて陽の光が目に痛い。思えば社に帰ってきてから一度も眠っていない。余計なことを考えないために、何かに集中していたかった。
社務所に顔を出すと相変わらずひっきりなしに神職たちが出入りしておりこれから催される大祭や百鬼夜行に向けての準備に追われていた。
巫女ふたりが慌ただしく恵衣の横を駆け抜けて行って、そして漫画のように両足を突っ張って立ち止まった。
怪訝に思いながらも通り過ぎようとしたその時「やっと見つけたー!」と右側の巫女が叫ぶ。よく見ると巫寿が部活で親しくしている後輩達だった。
「こんな所にいたんですか恵衣さん!」
「行く先々で恵衣ならどこどこに行ったぞって言われて、あちこち探し回ってたんですよ……!」
鬼気迫る後輩ふたりに詰め寄られて、思わず一歩後ずさった。
「お前たちは……」
「ああもうそれ聞き飽きました! そうですよ側役ですよ! 今休み時間なんで恵衣さんのこと探し回ってたんです!」
「とにかく私たちについてきてくださいっ」
興奮気味の二人に眉を寄せた。



