────神修に戻ってきて再会した時、あいつはもう全てを心に決めたような顔だった。
おそらくずっと心のどこかで覚悟はしていて、その覚悟を鈍らせていたのは俺たちだ。
その覚悟を受け入れれば、あいつを失うかもしれない。そう考えると、止めずにはいられなかった。
なのに結局あいつは、俺たちを守るためにやはりその道を選んだ。結局俺は何もできず、別の道も用意できず、こうしてあいつの力に頼ることしかできない。
「……何が、未来を生きてくれだよ」
自分に対する呆れは声になって漏れた。
隣で祭壇の照明に火を灯していた神職の一人が「ん?」と振り返る。咳払いをして手にしていた三方の向きを整えた。
会議が終わってからは、報告手続き報告報告と方々を駆け回っては、先々で「これを手伝え」「あれを手伝え」「どこどこにこれこれを伝えてきてくれ」と馬車馬の如く働かされていた。
休む暇もなく、休みたいとも思わなかった。
この一つひとつがあいつの未来を作る助けになると思えば何も苦には思わなかった。
もうあと1時間もすれば大祓の儀が執り行われるはずだ。自分が発案した作戦も来光主導の元滞りなく進んでいると聞いた。問題も起きていない。
すべでの神職が、たった一人で空亡を討とうとしている少女を全力で支えている。
全審神者の時には叶わなかったことだ。
ただ、何をしても焦燥感は募るばかりで、くだらない小さな失敗が続いていた。



