「わり、嘉正。ちょっくら恵理に電話してくるわ」
「え? 恵理ちゃんに?」
「おう。これが終わったら真っ先に会いに行くって伝えてくる」
あまりにも正直でド直球な宣言に、後輩ふたりは「ひゃっ」と色めきたつ。嘉正は呆れたように息を吐いて笑う。
「泰紀それ、死亡フラグ」
「バーカ。言霊にして確実にするんだよ」
じゃ、と片手を上げて颯爽と階段を降りていった泰紀。やれやれと肩を竦めると、振り返った嘉正は後輩ふたりを見下ろした。
「二人さ、巫寿ちゃんが頭に花の髪飾りつけてるの知ってる?」
唐突にそう尋ねられ、巫寿の顔を思い出した。おそらくガラスでできた桃の花の髪飾りのことだ。巫寿がふとした瞬間にそっと指先で触れて目を閉じ深呼吸している姿を何度か見た。
大切にしているものなのだとは思っていたけれど、それと何が関係しているのだろう?
「ここからは俺のひとりごとね────あの頭飾りだけど、出かけた時に買ってもらったんだってさ。恵衣に。恵衣からのプレゼントなんだって」
疲れた時や緊張している時、自分を落ち着けようとしている時に、巫寿は無意識にあの花飾りに触れていた。そんな態度から、あの花飾りがどれほど大切なものなのかは理解できた。
それが、貰ったもの。しかも同級生の男の子から。一緒に出かけるくらい仲の良い男の子から。
これは────ビンゴだ。
興奮気味に鼻をふくらませた玉珠と手を取りあって飛び跳ねた。
確定だ。巫寿ちゃんの好きな人は間違いなく、京極恵衣先輩だ。



