ここまで言えば流石に伝わっただろうと、期待の眼差しで泰紀たちに視線を送る。
そして、ポリポリと鼻の下を掻く泰紀と分からないことを質問された時に笑って誤魔化すような顔をした嘉正と目が合って、その場に崩れ落ちた。
「なんっっでよ! あんたら高校生でしょ!? 恋のひとつやふたつしてこなかったの!?」
頭を抱えて叫ぶ盛福の背中を玉珠が撫でた。期待することを諦めた穏やかな顔だった。
「盛福ちゃん、もうこの代終わってるんだよ……何を聞いても無駄だからもう諦めよう……」
「ほんと終わってる! ろくな奴いないじゃん!」
はぁぁ、と今度は苛立ったように頭をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
なんか俺らディスられてね? うん、思いっきりディスられてるね。
乱心する後輩を前に、二人は不思議そうな顔で首を捻った。
「分かるでしょ!? 一時間後にどうなってるか分からない状況で今何をすべきか、答えはひとつじゃん!」
「美味い飯を食う?」
「家族や兄弟に会いに行く?」
「ホントこいつら使えねぇな!」
盛福はチッ、と盛大に舌打ちをした。
「誰かに伝えないと後悔する気持ちがあるはずです……! 本当に分かりませんか?」
玉珠がそう口を挟む。すると、以外にも反応したのは泰紀の方だった。
「伝えないと後悔する気持ち……か」
そうです!と二人が目を輝かせる。
しばらく何かを考えるように黙り込んだ後、泰紀は抱えていた木箱を嘉正の木箱の上に重ねた。うお!?と重みに驚いた嘉正が少しバランスを崩す。



