鬼市たちと別れたあと、二人は神修の校舎へ続く石階段を登っていた。そよそよと風に揺れる新緑を眺めたあと、二人のため息が重なった。石段を踏みしめる足取りは重たい。
「思えば、鬼市さんの言う通りだよね。もし巫寿ちゃんの好きな人のことを知ってても、常識のある人ならベラベラ喋ったりしないし……」
「いやぁ、迂闊だったわ。こんなことなら巫寿ちゃんに『好きな人連れてきてあげるから教えて!』って言えばよかったね」
「そうだね。友達全員会わせてあげられれば、偶然好きな人が紛れ込んでるかもしれないけど……私たちがこっそり連れていくには一人が限界だし……」
はぁ、と今日で何度目かのため息が揃う。
少し前に時刻を知らせる鐘が鳴った。あと30分以内に巫寿の元へ戻らなければならない。
それならせめて、仲の良い友人の誰か一人だけでも連れて行って会わせてあげるべきなんだろうか。
トボトボと階段を登っていたその時、二人に頭に影が落ちて「お? なんだお前ら」と知っている声が聞こえた。
ハッと顔をあげると、大きな木箱を抱えた泰紀と左眼に眼帯を当てた嘉正が石階段を降りてきているところだった。
「うわぁッ! ナイスタイミングすぎる!」
「最後の頼みの綱……!」
諸手を上げて駆け寄る二人に、泰紀たちは怪訝な表情で顔を見合せた。



