来光と別れたあと、盛福と玉珠の二人は本庁を飛び出し、ぱたぱたと袴をはためかせながら社頭を駆け抜けていた。
ぐしゃぐしゃと頭をかき乱した盛福は地団駄を踏む。
「皆どこにいるのよ!? もー、時間ないのにぃ!」
玉珠は頬に手を当てて肩を落とした。
「見つけたとしても、来光さんがあの調子じゃ、他の人たちも期待できないかもしれないね」
二人のため息が揃う。
もう少しストレートに尋ねられれば良いのだけれど、それだと巫寿の秘密が危うくバレかねない。となると今度こそ本当に口を聞いて貰えなくなるかもしれない。
せめて口が硬そうな人に出会えるといいんだけれど。
肩を落としながら辺りを見回したその時、まねきの社の大鳥居に向かって石階段を登ってくる複数の足音が聞こえた。
話し声とともに顔を出したのは、頭に硬い角を二本生やした人の姿をした妖だった。白衣に袴を身に付けているので幽世の神職なのだろう。
その中に見知った顔を見つけた。
向こうもこちらに気づいたようでギュッと眉間に皺を寄せて険しい顔をする。無理もない。あの人は巫寿の友達で、最後に会った時自分たちは巫寿に酷いことをしていた。
その隣にいた白髪の少年は顔を上げて小さく手を振る。顔を見合せてほっと息をつき、二人に向かって駆け出した。
「お前らは巫寿の後輩の」
「は、はい。鬼市さんと瓏さんですよね。お久しぶりです」
「お久し、ぶり」
異文化交流学習で知り合った鞍馬の神修の学生、八瀬童子一族の鬼市と、千歳狐の瓏だ。
鬼市は未だに良い印象を抱いていないらしいく険しい顔のまま二人を一瞥した。にこやかに挨拶してくれた瓏が唯一の救いだ。



