来光だけじゃない。巫寿も恵衣も、嘉正も泰紀も。慶賀も、聖仁も、ほかの子供たちも。俺の手から離れていたこの数ヶ月で驚くほどに成長している。きっとそれは、そうならざるを得ない状況だったのだろう。
いつか俺の手から巣立って行った時に、自分の足でしっかりと前に進めるだけの力が着くように育てできたつもりだった。
どんなことが起きても揺るがない心と、道を切り開くための技術。自分がそうしてもらったように、強い神職になるように育ててきた。
まさかこんなにも早く巣立っていくとは思っていなかったけれど、子供たちはみんな、辛いも苦しいも全部自分の力で乗り越えて、必死に自分の頭で考え抜いて、ここまで走ってきた。
あの子たちは強い。
まだ危ういところはあるけれど、あの子たちは紛れもなくそれぞれがひとりの神職だ。
「なんか、ちょっと寂しいな」
「やっと俺の気持ちがわかったか」
鼻を鳴らした禄輪にぷっと吹き出す。さっきまで小難しい顔で議論していた人間とは思えない。
「あはは、オッサン寂しかったの?」
「当たり前だろ。これからは月に4回は顔を出せ」
「週イチじゃんそれ」
「週二でもいいぞ」
なんだよそれ、と笑って俯いた。くすぐったくて顔が見れないような感覚は久しぶりだった。
俺にとって生徒たちがいつまでも子供に思えるように、この人にとっても自分はいつまでも子供なのだろうか。
「さぁ、子供らが頑張ってるんだ。まずは大人が道を切り開くぞ」
「だね」
歩き出した禄輪の隣に並ぶ。
少なくとも隣に並ぶことを許してくれるくらいには、大人になったと思いたい。



