言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


「君ら……たしか巫寿ちゃんの神楽部の後輩の」

「盛福です!」

「玉珠です」


ぺこりと頭を下げた二人は「今いいですか?」と来光を手招く。

ゆかに転がった筆を誰が持ち上げるかで揉めている神職立ちを一瞥して、ひとつ頷き立ち上がった。

襖に手をかけて小さく息を吐く。


「皆さんさっき何やってたんですか?」

「恵衣が発案した作戦の一つだよ。ただ、まだちょっと僕の覚悟が決まらなくて」


ふーん?と不思議そうに首を捻った二人。

息を吐いた来光は眼鏡を外して目頭をつまむと「それで、どうしたの?」と切り出した。

すると、言い方に迷っているのか何か言いたげな顔をして二人は顔を見合せた。


「えっと、その……巫寿ちゃんが普段から良く見てる人とかって分かりますか? 異性で」

「よく見てる人? なんでしかも異性ってどういうこと?」


曖昧な質問に疑問を持つのは仕方ないことなのに、「いいから答えてッ!」と盛福に凄まれる。「うわっ」と肩を縮めた来光は「一体なんなんだよ」と目を白黒させながら愚痴をこぼす。


「異性って言ったら……薫先生とかじゃない? 担任だし。後は禄輪さんとか。尊敬してるって話してたし」


捻り出した回答に、女子二人は深く長い溜め息をこぼした。落胆したような目で来光を見る。

だからなんなんだよ!と苦笑いで二人を見た。