言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


胸がいっぱいになって勢いよく二人を抱きしめた。巫寿ちゃん冷たいよー、と文句を言いながらも私の背中に手を回してくれる。


「審神者代になることが決まってからバタバタしてたから、クラスメイト達とも話せてなくて……二人に会えて本当に嬉しい」

「えッ、一言も喋ってないんですか!?」

「これから大仕事なのに、そんな時間もくれなかったの!?」

「本当に時間がないから、仕方ないよ……」


信じられない!と眉を釣り上げた二人は、お互いに顔を見合せたあと何かを決意したように深く頷いた。

そして鼻息荒く身を乗り出す。


「とにかく、巫寿さんが社に入るまでは私たちに任せてください!」

「うん! しっかりサポートするからね!」


ドン、と胸を叩いた心強い後輩ふたりに頬を緩めて頷いた。

その時「ほんなら最初の仕事や」と二人の肩を千江さんがポンと叩く。張り切ったふたりは「何でもござれと」と目を輝かせる。


「巫寿ちゃん、川に入り直しやから手伝(てつど)うて」


思わず私が「えッ」と声を上げる。

入り直しってどういうこと?


「清浄にするための禊やのに、禊いだあとに現世の人が触れたらまた不浄になるやろ」


がっくしと肩を落とした。

つまり、洗った手で泥を触っているのと同じということか。

千江さんの言っていることは正しいし、ちゃんと神事を行うことが自分のためにもなるのは重々承知なのだけれど、またあの冷たい川に肩まで浸かると思うと気が重い。

泣きそうな顔をした二人が申し訳なさそうに首を竦めて振り返る。泣きたいのは私なのに。


「だ……大丈夫だよ。頑張るから……」


後輩にそんな顔をされたら、そう答えるしかなかった。