「────三種の神器を使うのはどうですか?」
三時間ほど経って話し合いが行き詰まり始めた頃、そう呟いたのは恵衣くんだった。それまで疲れた顔をして椅子に深く腰掛けていた本庁の役人のひとりが、目を剥いて身を乗り出す。
「な、なんてことを言うんだ! あれは表には出ていないが国宝なんだぞ!?」
「そうだ! そもそも神器を我々人間が扱うなんて、無礼にも程があるッ」
「使う使わないはさておき、可能か不可能かを判断してください」
ごもっともな反論に役人たちが顔を真っ赤にしてうぐと言葉を詰まらせた。
確かに現世に存在する三種の神器が「統治」の象徴なのに対し、私たちの言う三種の神器は「終結」の象徴だ。その三つが揃った時、神器は終結をもたらすと言われている。
バツが悪そうにお互いの顔を見合せた役人たちに変わって答えたのは、栄本部長だった。ぎょろりとした鋭い目で睨むように恵衣くんを見た。
「可能か不可能で言えば、不可能だ。三種の神器に《終結》の力があるというのは伝承上の話であって、実際にそのような事象が確認されたことはない。確かでは無いことに我々の命運を託す訳にはいかん」
役人たちが大袈裟にうんうんと頷く。どこか誇らしげな表情が腹立たしい。
でも栄本部長の仰る通りだ。今は確かじゃないものに賭けている場合では無い。
「そういえば巫寿さん、國舘剣と御覇李鈴は今どこに?」
「あっ……今持ってます」
心の中で眞奉に呼びかける。突然音も無く私の背後に現れた眞奉に、神職さまたちが息を飲む。
眞奉と結びを交わしたことはさっき話したけれど、実際に眞奉のことはまだ見せてはいなかったので驚かせてしまったらしい。



