「禄輪の報告書を禁書の棚に入れたのは、もう二度と神職に同じ選択をさせない為だ。君に強要するような不適切な発言を、どうか許して欲しい」
「は、はい……大丈夫です」
ひとつ頷いた本部長にドキマギしながらも話を続ける。ここまでが私が知り得た情報、ここからは私が考える作戦の話だ。
「今の私じゃ、間違いなく天地一切清浄祓を奏上すれば、取り込んだ呪を浄化できず死にます。だから、これから……幸魂修行を行います」
なるほどな、と禄輪さんは顎を撫でて渋い表情を浮かべた。
以前、天地一切清浄祓がどういうものなのかを知らずに奏上してしまい、私の中に残穢が溜まって呪の割合が増加してしまったことがある。
それを元に戻すためにかむくらの社で行ったのが、呪を言祝ぎに転じさせる幸魂修行だ。
「自分の中にある言祝ぎを最大限まで高めて天地一切清浄祓を奏上することで、残穢を受け止める器を大きくしようというわけか」
はい、と頷く。けれど神職さまたちの表情は、話す前よりも険しくなった。
それは無理だ、と答えたのは薫先生だった。
「天地一切清浄祓を奏上するしないの前に、言祝ぎを引き上げるには限界がある。万全の状態で3日間飲まず食わずで行ったとしても、せいぜい一割増えればいい方だ。今の状態の巫寿がそれを行ったとしても、空亡の残穢を全てうち任せるほどの言祝ぎを作り出せるとは思えない」
「で、でも時間をかければ」
「その時間がないんだよ」
苦い表情でそう吐き捨てた薫先生。
時間が無いってどういうこと……?



