言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



巫寿、おい巫寿止まれッ! 戻ってこい! 説明しろッ!

目を釣り上げて怒りを顕にしながら追いかけてくる恵衣くんを振り切って、大股で本庁の庁舎に飛び込んだ。萬さんから教えて貰った会議室を目指す。

いい加減にしろ!と声を張り上げる恵衣くんに、バタバタと忙しなく動き回っていた役人たちが何事かと手を止めてこちらに視線を送る。

視線も怒声も全部無視して、会議室に飛び込んだ。


「いい加減にしろよ巫寿!」


中に入ると同時に後ろから右手首を掴まれた。

怒鳴っているくせに、掴むその手は温かく優しい。喉の奥がかっと熱くなって、蓋をされたみたいに上手く言葉が出てこなかった。

神職さまたちが驚いた顔で私を見ている。


「……私が」

「やめろ巫寿ッ!」


今にも泣き出しそうなほど切ない声が私の名前を呼ぶ。


「私が、空亡を祓います。志ようさんがやったように」


水を打ったように会議室が静まり返った。そんな中で唯一、禄輪さんが勢いよく立ち上がる。


「それをどこで聞いた」


鋭い眼光で睨みつけられて、あまりの気迫に思わず喉を鳴らした。


「禄輪さんが本庁に提出した空亡戦の報告書です。泰紀くんに頼んで、本庁の資料室で確認してもらいました」

「お前たちはまた勝手なことをッ!」


遅れて会議室に入ってきた嘉正くんたちが、入ってくるなり怒鳴られてびくりと肩を揺らした。

泰紀!と怒鳴るように名前を呼ばれて泰紀くんが何事かと私を見た。