言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


でもどうして、いつからそんな風に思っていてくれたんだろうか?

眞奉は禄輪さんの十二神使で、禄輪さんから命令されて私の元へ来た。どちらかと言えば関係も長い禄輪さんの方が思い入れも強いはずなのに、どうして私をそんなふうに思ってくれるのだろうか。


「私は、ずっとあなたをお守りしていたい。あなたの傍であなたの成長を見届けたい」


眞奉が軽く身を捩った。抱きしめていた腕を緩めると、眞奉は体を離して真っ直ぐと私の目を見つめる。何かを続けようとして僅かに口を開き、声を発する前にその何かを飲み込んだ。

まるで何かを懇願するような、私に訴えかけるような、揺るがない瞳だった。


その瞬間、眞奉が何を続けて言おうとしていたのかが分かった。

ずっと私のそばにいて成り行きを見守っていたんだ。私がこれからどんな選択をしようとしているのか察したのだろう。

その気持ちが嬉しかった。でも私は、その気持ちには答えられない。もう決めたことだ。


握っていた眞奉の手を離した。温もりを追いかけるように、眞奉が手を伸ばす。その手を取って握り返してやることはできない。


「ごめんね、こんな主で」

「巫寿さま」

「でも、眞奉にどうしても頼みたいことがあるの。だから、さいごまで一緒にいてくれると嬉しい」


眞奉の唇が僅かに震えた。そして項垂れるように小さく頷く。

私が頼まなくても、きっと眞奉は最後の瞬間まで私のそばにいて私を守ってくれるのだろう。その願いがどれほど残酷な願いなのかを知っていて、私は眞奉を優しさを利用する。

未来を望む眞奉にこんな最低なお願いをするなんて、私は最低な人間だ。