慌てて飛び起きると、志ようさんのもとから持ち出した御覇李鈴が置いてある。両手で軽く振りかざす。軽やかで清廉な音色が響いた。
この後、この鈴をかむくらの屯所に届けたあと私は。
胸の前で強く握りしめた。
「巫寿さま」
眞奉に名前を呼ばれて振り返った。姿勢よく正座をしてじっとこちらを見ている。
「どうしたの? 眞奉」
「私のお役目は、貴女をお守りすることです」
「え……あ、うん?」
唐突な宣言に戸惑いながらもひとつ頷く。頷いたところで「ん?」と首を捻った。
たしかに眞奉と私は結びを作って主従関係を結んだけれど、私は眞奉を自分の手下だとは思っていない。あくまで仲間として一緒に戦って欲しいとは頼んだけれど、私は彼女に対して「守ってほしい」とは一度も頼んでいない。
「それは違うよ、眞奉。私はあなたに守ってほしいとは思ってない。力を貸してくれることには感謝してるけどあなたも私の仲間だよ。傷ついてほしくない。まずは眞奉自身のことを守ってほしい」
太ももの上に鈴を置いて手を伸ばした。眞奉のひんやりとした手を握りしめる。
私の代わりに國舘剣を握ってくれたその手は、手のひらが赤く手の甲は擦り傷だらけになっていた。
労わるようにそっと撫でると、私の手の甲にぽたりと温かい雫が落ちた。立て続けにポタポタと二滴落ちてきて、不思議に思いながら顔をあげる。
その雫が眞奉の目尻から落ちていることに気付き、ぽかんと口を開けた。



