言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー


巫寿の頭を抱き抱え、ゆっくりと振り返る。勾陳は驚いた表情でその場に立ち尽くした。

他の十二神使が審神者の事務仕事や社の掃除を嫌がって「稽古だ」と理由をつけて逃げ出す中、この妹神使だけはよく審神者を手伝っていた。

妹神使が手合わせしているところを見たのは片手で数えられる程度で、見る度にいつも負けていた。

翼を出さなのは他の神使に比べて貧相な翼を見られるのが嫌で、ずっと隠しこんでいるのだと思っていた。

だから妹神使は、弱いのだと思っていた。


まさかこんなに────。


「いいモン隠し持ってんじゃねぇか、騰蛇! なんで俺との手合せで、その翼を出さなかったんだよ!」


ゴォォォと地響きが響き渡り騰蛇の足元に亀裂が走った。地面がふたつに避けるよりも先に炎の翼で舞い上がる。

地割れから氷柱のように鋭利な土塊が素早く伸びた。翼の炎が土塊の先端を次々と燃やし灰に変えていくも、直ぐに再生されて新しい土塊が騰蛇の翼めがけて伸びていく。

勾陳の口角が得意げに持ち上がった。


「攻撃しろよ騰蛇! お前の本気見せてみろよッ!」


土塊が次から次へと飛び出してきて、やがて右翼を貫いた。血飛沫のように炎が弾けて飛び散る。騰蛇は僅かに顔を歪めた。

このままでは残った翼も貫かれてそのまま地面に落ちたところを串刺しにされる。どうすれば。


「……や、」


嗚咽混じりの小さな声が腕の中から聞こえた。