同じ十二神使でも力量の差というものがある。志ようが召喚した十二神使の中で、騰蛇は一番弱かった。
「見ろよ、騰蛇のやつ。また子守りしたらァ」
「大して強くないし、あいつは子守りするくらいがちょうどいいんだよ」
手際よくおしめを交換する騰蛇の様子を見ていた十二神使たちがくすくすと笑いながらそう揶揄る。
「コラッ、あんた達! 赤ん坊のウンチに怖気付いてるような奴らが騰蛇を馬鹿にするんじゃないわよ!」
ちょうど盆に乗せた湯呑みを運んできた志ようの耳にも届き、志ようは眉を釣り上げて拳を振り上げる。君が怒った!と笑いながら二匹は走って逃げていった。
もう!と鼻息荒く逃げていった背中を睨んだ志ように、泉寿は苦笑いを浮かべた。
「ごめんね、騰蛇。来るたびにお世話してもらっちゃって」
「いえ」
「揶揄われるのが嫌だったら、断ってもいいんだよ」
「ええ」
感情を出さず淡々と答える騰蛇に、泉寿は眉を下げて笑った。騰蛇は慣れた手つきて服を着せたあと、巫寿を肩に抱き上げて立ち上がった。
「昼寝の前に散歩に連れてゆきます」
「はーい、泉寿と喋ってるから私のことは気にしなくていいよ」
小さく頭を下げて部屋を出ていった騰蛇の背中に、「私よりママじゃん」と泉寿は小さく吹き出した。



