「はーい君、どうしたの?」
「お呼びでしょうか」
「何かあったか?」
一人は全身に魚の鱗のような模様を持つ少年、一人は炎を宿した翼を生やした女、一人は亀のような緑色の皮膚に頭からツノを生やした青年だった。
「あれ、他の皆は?」
「みんな森に出かけたよ、手合わせするんだって! 僕は面倒だから不参加!」
「俺は、今日は君の護衛の番だからな」
彼らは皆、人ならざるもの。妖であり妖でなく、穢れを嫌う唯一潔白の存在、十二神使だ。志ようの呼び掛けに応じて顕現し、結びを作って主従となった。
「そうなのね。じゃあ三人でちょっとの間、巫寿のこと見ててもらえる? 私お布団引いてくるから。まだ首すわってないから、抱っこ気を付けてね!」
はい、と赤ん坊を渡された玄武は、「おいおいおい!」と腕の中ですよすよ眠る赤ん坊と遠ざかってゆく志ようの背中を見比べた。
騒ぎに気付いたのか、巫寿がパチリと目を開ける。目が合った玄武はいっそう狼狽えた。
「か、勘弁しろよ。俺赤ん坊なんてあやした事ねぇぞ」
「すごーい、これが人間の子供なんだね!」
天后は物珍しそうに身を乗り出した。
突然現れた顔に驚いたのか巫寿の顔がふにゃりと歪む。たちまち目いっぱいに涙が溜まり、顔が赤くなった。
「うおお、泣いたぞコイツ! どうすんだよ!」
「あのねぇ玄武、赤ん坊は泣くものなの」
腕の中で声をあげる赤ん坊に、玄武は恐れ戦いた様子で身を引いた。



