優しく頬を撫でられると体の力が抜けて、堪えていた眠気が身体を包み込む。手足に力が入らなくなってよろめくと、よっ、と小さく声を漏らして私を軽々と抱き上げた。
「お兄ちゃん、妖狐が……」
「わかってる。気にしなくていいから寝てなさい」
睡魔に抗いながら耳を済ませると複数の足音がもう目の前まで迫ってきていた。
「よくも俺の可愛い妹に手を出したな」
地の底を這うような、怒りに震えた低い声。
お兄ちゃんが何かの祝詞を奏上する声が聞こえたけれど、疲労と睡魔な抗えず最後の詞を聞き取る前に深い眠りについた。
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