もし私の考えが正しければ。
「恣冀、一度外に出よう」
髪をまとめていた花の髪紐に手を伸ばしてするりと解く。紐の先についた鈴がちりちりと可愛らしい音を立てた。雨風に晒されてすっかり汚れてしまった花の飾りを優しく指で拭った。
これを貰った時の気持ちが胸を温かく包み込む。両手で握りしめてそっと唇に押し当てた。
本来なら右手に巫女鈴を持つものだけれど、今日は代わりにこの花の髪飾り手に巻き付ける。
岩戸を開く鍵は────巫女舞だ。
右手をゆったりと掲げて鈴を鳴らす。しゃらん、と軽やかで清廉な音色が渓谷中に響く。
急く気持ちを落ち着けて一つ一つの動きを丁寧に、指先まで神経を巡らせて、天照大神の心を動かした天宇受売命のように、中にいる志ようさんへ届くように舞うんだ。



