「またしばらくの間お別れだ、薫。でもすぐに迎えに来るよ。誰もお前を虐めない、悲しませない世界を作って」 芽が歩いていく。もう自分たちの手の届かない所へ。伸ばした手は宙を掴んだ。 芽の背中は扉の向こうに消えた。ギィと音を立てて扉が締まる。 まだ取り戻せるかもしれないという淡い期待は、確かにその瞬間に砕けた音がした。 床板に爪を立てる。芽の祝詞の効果は切れているはずなのに、情けなく這いつくばって唇を噛みながら震えることしかできなかった。