頭に酸素が届かず、次の一手が思い浮かばない。ただ苦しさに喘ぎ力なく暴れることしかできなかった。
天司が気を失う二人を見た。
「あれはお主の友か?」
「だっ、たら、なんだよ……ッ!」
「何故そこまでして、友を守ろうとする。なぜ友の敵を討とうとする。力の差は歴然、このままではお主たちは諸共死ぬ。それなのになぜお主らは────なぜ神職は、何度も立ち上がる」
僅かに手が緩んだ。カハッと短く息を吸い込む。
視界が揺らぐ。歪む世界の向こうにいる天司を鋭く睨みつけた。
「大切だから、守る。守りたいから、戦う。それ以外に理由なんか、ねぇよッ」
「守ったところで何になる」
天司が静かに尋ねた。馬鹿げた質問だ、おかしくてたまらなかった。喉の奥で微かに笑いが盛れる。
こいつは何も知らねぇんだな。
────そんなことも分からねぇやつに、負ける気がしねぇよ。
「何にも残らねぇ。救われもしねぇし、報われないかもしんねぇよ」
首を掴む天司の腕に爪を立てて握り返した。顔をあげる。
何にもない、それでもいい。だってそこには。
「何にもならねぇことを、必死で守れるやつだけが────“幸せ”な時間を知ってんだよッ!」
楽しい時間も幸せな時間も、こいつらがいるから生まれたものだった。こいつらがいなければ知らないままだった。
これまでもこれからも、俺はその時間を守りたい。その時間をくれたこいつらを守りたい。だから俺は何度だって戦う。



