どの部分を見て、何を思ってそう言ったのかは分からない。
けれど俺の中では、何年経っても忘れることは無いほど、その言葉がやけに嬉しかった。
ほかのクラスメイトが少し距離を取って接してくる中、聖仁と瑞祥だけは態度を変えなかった。
瑞祥はただの阿呆だからだと思っていたけれど、「双子が凶兆」なのを知らないはずはない賢くて優秀な聖仁が、どうして態度を変えないのか不思議だった。
ただ、怯えることもなく遠慮のない距離感がとても心地よかった。俺たちが親友になるのはあっという間だった。
『そういや、お前って最初から俺に普通に接してたよな』
中等部に上がった頃、何となくそう聞いたことがあった。ん?と首を捻った聖仁。本人には心当たりが全くないらしい。
『双子って凶兆じゃん』
言い慣れた大嫌いな言葉を、自嘲気味に呟く。言い慣れてはいても言葉にすると苦しかった。沈みゆく夕日を見上げて息を吐き、喉の奥の苦しさを誤魔化す。
ふむ、と顎に手を当てた聖仁は持っていた竹箒を見下ろしプッと吹き出した。
『確かに凶兆かも。二人に出会ってなかったら、こんな罰則食らう学生生活は送ってなかっただろうし』
ははっ、と軽やかに笑った聖仁。
『確かに初めて会った時は"へぇ、双子なんだ"とは思ったけど、それ以上は特に何も思わなかったなぁ。それに二人とも全然違ったし。双子なのは事実だけど、その前に一人の人間だろ』



