言祝ぎの子 結 ー国立神役修詞高等学校ー



天司は大きな翼で防御壁を作るように身体を覆い隠す。


「だからお見通しだっての!」


鶴吉が口角を上げたその瞬間、空気の弾丸は天司の持つ錫杖を弾き飛ばした。

壁に当たった錫杖が亀世の前に転がり落ちた。すかさず踵を錫杖の塚に振り下ろす。木が折れる乾いた音が響いた。亀世の足の下で、真っ二つになった錫杖が転がっている。


「シャアッ!」


三人の歓喜の声が揃う。

烏天狗の妖力は錫杖を媒介として風を操る。亀世から聞かされた作戦では、何よりも真っ先にまずその錫杖の破壊しろと言われていた。

初撃でここまで上手くいくとは思っていなかったが。

天司が僅かに目を見開いて、錫杖を握っていた自分の手のひらを見下ろした。そして何度か手を握り開く。


「……我が錫杖を弾いた人間は、お主らが初めてだ」


ピクリとも動かなかった口角が僅かに持ち上がる。


「面白い」


ぞわりと全身の毛が逆立つような感覚に鶴吉は息を飲んだ。


────こりゃ……瀕死でも生きて帰れれば良い方かもな。


ふぅ、と小さく息を吐いて頬を流れる冷や汗を拭う。

ともあれ錫杖は折った。天司にはその身体を使った攻撃しか残されていない。それなら慎重に動きを見極めれば自分たちにも少なからず勝ち目はあるはずだ。

ここまでは作戦通り、次も亀世の作戦通りに────。

瑞祥に視線を送ろうとほんの僅かに視線を逸らしたその時。

バサリと大きな翼がはためく音がしたかと思った次の瞬間には、太く丸い拳が鼻先に触れていた。